北京知財裁判所の審理した特許権侵害事件(審理期間:2014年11月~2020年3月)を対象とした損害賠償の調査報告が北京知財裁判所によって発表された。
北京知財裁判所は、2014年11月~2020年3月末で特許権侵害事件を2811件受理し、1923件を結審した。結審率は68%であり、調停・取下げの案件は全案件に対して65.5%であり、判決で結審した案件は全案件に対して17%で、480件であった。
北京知財裁判所に審理された特許権侵害事件に関する具体的な特徴は下記のとおりである。
特許法(2020年第4次改正) 第 71 条特許権侵害の賠償金額は、権利者が権利侵害によって受けた実際の損失または権利侵害者が権利侵害によって得た利益で確定することができる。権利者の損失又は権利侵害者の得た利益の確定が困難である場合、当該特許許諾使用料の倍数を参照して合理的に確定する。故意に特許権を侵害し、情状が深刻である場合、上記方法で確定した金額の1倍以上5倍以下で賠償金額を確定することができる。
特許権者の損失、侵害者の得た利益及び特許の実施許諾料の算定がともに困難な場合には、裁判所は特許権の種類、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、3 万元以上 500 万元以下の賠償を与えると確定することができる。
賠償金額には、権利者が権利侵害行為を差止めるために支払った合理的な支出も含まれなければならない。
裁判所は賠償金額を確定するために、権利者がすでに全力を尽くして立証しており、権利侵害行為に関連する帳簿、資料が主に権利侵害者に保有されている状況下で、権利侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を権利侵害者に命じることができる。権利侵害者は提供せず、又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、裁判所は権利者の主張と提供した証拠を参考にして賠償金額を判定することができる。
(1)受理・結審案件および新類型の案件の件数が毎年増加近い5年間に、受理・結審案件の毎年の平均伸び率はそれぞれ15%および24.7%に達し、昨年の結審件数が前年比36.3%の高い伸び率を実現した。外国または香港・マカオ・台湾の当事者に係る事件は全件数に対して14%に近く、当事者が中国および外国の両方で提訴した事件が増えた。4G通信技術、ドローン、腫瘍治療用製薬など新興産業の新類型案件が毎年増えている。
(2)係争特許の権利安定性が高く、特許権者の勝訴比例が高い判決で結審した480件の事件のうち、60%以上の係争特許は無効手続きを経ており、特許権有効性の維持または部分維持の割合は62%と高かった。原告側が勝訴した事件件数は355件であり、勝訴率が74%と高く、うち、外国当事者に係る事件の勝訴率は69%に達した。勝訴事件について、認容された額は平均で訴訟請求額の40%を超えており、請求額の全額を認容した事件件数は55件であり、15.5%を占めた。勝訴側は各事件の判決による平均賠償額が46万元に近く、うち、特許権者の平均賠償額が88万元を超えた。
(3)法定賠償制度による判決が多い
実際の損失、権利侵害による利益、許諾使用料の倍数で賠償額を計算する事件がそれぞれ4件、10件、 3件であり、懲罰的な賠償を適用した事件が2件あり、残った事件はいずれも法定賠償制度(すなわち、裁判所が裁量により賠償額を判定する制度)が適用された。法定賠償制度を適用した事件は、勝訴事件において91.8%を占めた。特許権者によって主張された計算方法が明確ではなく、立証が十分ではないといった問題が多く存在している。
(4)技術分野は日常生活と緊密に関連している判決済みの事件において、日用品の消費業界に係る事件が最も多く、60%を超えており、うち、家具、美容、食品、保健、玩具などの業界の比例が高く、ジューサ、自撮り棒、蒸発器の特許紛争が多くなる傾向性がある。コンピュータ、通信技術、医薬医療などの分野で判決で結審した事件は10%未満と少なかった。
ソース:http://rmfyb.chinacourt.org/paper/html/2020- 04/23/content_167456.htm?div=-1

