1.事例の概要
美克国際家庭用品株式会社は、上海のある会社が販売の申し出をした複数の製品が自社の複数の意匠権を侵害した疑いがあることを発見し、2020年5月25 日に上海市知的財産権局に特許侵害紛争行政裁決処理請求を提出した。6月1日、上海市知的財産権局は上記の一連の案件を受理し、双方当事者の調停意思に基づき調停を主宰した。9月29日、双方当事者は専利侵害紛争の行政調停協議書に署名した。10月20 日、双方当事者はこの協議書について、上海知的財産権裁判所に司法確認を申請した。上海知的財産権裁判所は当事者が提出した申請書類、調停協議書の形式・内容について審査し、同日に、調停協議書の有効性を確認し、一方当事者による履行拒否や部分的不履行の場合に、他方当事者は直接裁判所に強制執行を申請することができる旨の民事裁定書を発行した。
2.事例の指導意義
行政調停とは、行政機関の主宰で、当事者双方の自発的な意思に基づいて、法律、法規及び政策を根拠として、説得と働きかけを通じて、紛争の当事者双方が平等に協議し、合意に達しており、紛争を解決する活動を促進することを指す。調停は当事者の意思自治を第一の原則とし、合意した調停協議書は民事契約の性質を持ち、当事者双方に対して法的拘束力があるが、強制執行力はない。
司法確認は民事訴訟法に規定された特別な手続きである。これは、裁判所が双方の当事者の申請に基づいて、訴訟手続以外で締結された調停協議書を審査し、その強制執行力を付与する非訴訟手続である。司法確認は一審結審であり、一般的に立件日から30日以内に審査を完了する。
行政機関(例えば、地方の知的財産権局)はその機能においてより専門的であり、各専門分野における紛争の解決において重要な役割を果たすことができる。行政手続きを通じて紛争を解消することは、高効率かつ低コストの利点がある。行政調停と司法確認の組合せは、行政手続きの利点を十分に発揮させるだけでなく、司法資源を節約し、司法の効率を向上させることができる。また、当事者双方は自発的に調停合意を達成し、共同で裁判所へ確認を申請したため、履行確率が大きく、後悔率が低く、紛争解決の効果が向上し、案件の執行難の問題を緩和することができる。
出所:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/4/art_66_176359.html

