【事件番号】

(2016)粤03民初2951号 (2019)粤民終3026号

【事件概要】

フランスのミシュラングループ本社 (以下、ミシュラン社) は世界的に有名なタイヤメーカーであり、長年にわたり世界のトップ500企業にランクインしている。ミシュラン社は中国で第12類の指定商品「タイヤ」において「MICHELIN」および「米其林」(「MICHELIN」の中国語音訳)の登録商標を保有しており、登録番号がそれぞれ136402および519749であり、現在も存続中である。また、ミシュラン社は中国で第16類の指定商品「印刷物」において「MICHELIN」の商標登録も保有しており、登録番号が第781371号であり、現在も存続中である。また、ミシュラン社は中国で飲食店を格付けするブック「米其林ガイド」と「米芝蓮(「ミシュラン」の中国語音訳) ガイド」を発行・配布した。長期間の使用により、ミシュラン社が保有する上記3つの登録商標は、市場において高い評価を得ており、関連する公衆に知られており、ビジネス上の良い評判を築いた。

ミシュラン社は、深圳米芝蓮ケータリング管理有限公司(以下、米芝蓮社)とその子会社がケータリングサービスにおいて「米芝蓮」の商標と「MICHELIN」、「米芝蓮」のロゴを使用していることを発見した。MICHELIN 社は、米芝蓮社の行為が商標権侵害および不正競争にあたると考えており、中国の裁判所に提訴した。 MICHELIN社は、その保有する上記「MICHELIN」(第12類および第16類)および「米其林」(第12類)の3件の登録商標を著名商標(中国で「馳名商標」に対応)として認定するよう裁判所に請求し、被告に対し、商標権侵害の停止、影響力の排除を請求し、経済的損失として50万元を請求した。

MICHELIN社が保有する上記3件の登録商標を全て著名商標として認定するとのMICHELIN社の訴求に対して、広東省深圳市中級裁判所は全部支持しなかった。その理由は以下のとおりである。

米芝蓮社が侵害商標を使用した意図は、ミシュラン社が発行した「米其林ガイド」と「米芝蓮(「ガイド」が飲食店を推薦する点において築かれたビジネス上の良い評判を利用し、高い経済的利益を得るためであるとした。この場合、本件では、第16類の指定商品「印刷物」の登録商標「MICHELIN」のみが著名商標であると認定されればよく、被告が第43類のケータリングサービスにおいて「MICHELIN」を使用することを差し止めることができる。第12類の指定商品「タイヤ」における「MICHELIN」および「米其林」登録商標が著名商標であると認定する必要はなかった。

一審の判決後、米芝蓮社は控訴を取り下げたため、一審判決は有効となった。

【裁判のポイント】

商標権侵害及び不正競争紛争において、原告が被告の侵害行為の停止を求め、2件以上の登録商標を著名商標として認定することを請求する場合、裁判所は、被告の侵害行為に対する主観的な意思に従って、どの登録商標を著名商標として認定する必要があるかを判断する。