【事件の概要】
蒋嵐氏は本件意匠(登録番号ZL201430189441.1;意匠の名称:携帯電話保護フィルム包装用ケース001) の権利者である。
蒋嵐氏は、広州市ガリレオ電子科学技術有限会社 (以下、ガリレオ社と略称)が蒋嵐氏の許諾を得ずに、被疑侵害製品を無断で大規模に製造、販売、販売申出を行い、蒋嵐氏の意匠権を侵害したとして訴訟を提起した。蒋嵐氏は裁判所に対して、ガリレオ社が権利侵害を停止し、経済的損失及び合理的支出20万元 (342万円に相当)を賠償するよう請求した。
ガリレオ社は蒋嵐氏が本件意匠を中国特許庁 (SIPO)へ出願する前に、被疑侵害製品の製造、販売をすでにしており、かつ社会に公開したとして、先使用権による抗弁を主張した。
【判決】
裁判官の見解は以下の通りである。
電子証拠は証拠の真実性、信頼性などの具体的な状況を結び付けて認定されなければならない。被告(ガリレオ社)は本件意匠出願前に、被疑侵害品と同一の製品を製造していると主張し、SNS(QQ空間)(※) のアルバム、携帯電話メール、およびWeChatにおけるピクチャの関連電子証拠を裁判所に提出した。上記ピクチャの電子証拠はそれぞれテンセント社およびチャイナ・モバイル(China Mobile)社のサーバに蓄積されている。テンセント社およびチャイナ・モバイル社は高知名度のインターネットサービス業者であり、それらのネットワークシステムは安定的であり、ファイルのアップロード時間はシステムに自動生成され、ユーザーによるアップロード時間やアップロードしたピクチャの編集・訂正ができないため、信頼性が高い。
また、上記電子証拠の公証を取得しており、証拠形式が合法である。これを覆すことが可能な他の証拠はなく、裁判官は公証した上記証拠を取り上げた。これにより被告(ガリレオ社)の先使用権の主張は成立し、被疑侵害製品のデザインは本件意匠権を侵害しないこととなる。原告蒋嵐氏の訴えは成立せず、裁判所は原告の請求を却下した。
【本判決の意義】
電子証拠はバーチャル性および改竄の隠蔽性を有しているため、証拠を取り上げるかどうかについて、裁判所は多方面の要因を考慮する必要がある。裁判所は本事件において、電子証拠の取得方法、具体的なネットワークサービス業者、システムの安定性、及びデータ修正の可能性・データ信頼性を全面的に審理したうえで、上記電子証拠を取り上げると判断した。本事件はインターネット時代における電子証拠の認定及び取り上げなどに一定の参考価値がある。
(※)QQ空間は中国で普及したSNSの1つで、日記 (ブログ)、写真共有、メッセージボードなどの機能がある。QQ、微信(WeChat)およびQQ空間はテンセント社による3大ソーシャルメディアサービスである。
ソース:http://www.cnipr.com/sfsj/zscqfy/201603/t20160318_195756.htm
