質問:

当社は中国において商標を登録していないのですが、別の会社が中国で出願/登録した商標と当社の使用している図形(ロゴ)が同じである場合、どのような対応をすべきでしょうか?

回答:

1.はじめに

商標法32条に規定されているとおり、商標登録出願の際、他人の先行権利を侵害してはなりません。

なお、ここでいう「先行権利」とは、商標権以外の合法的な権利を指し、対象商標の出願前に、第三者が独自に創作して作品を完成させたか、もしくは継承・譲渡等により有している「先行著作権」も含まれます。

貴社が図形(ロゴ)の先行著作権を有している場合、商標法32条により保護することが可能です。

具体的には、対象商標が出願中であれば、対象商標の登録公告日から3カ月以内に中国商標局へ異議を申し立てることができ、対象商標が登録済みであれば、商標登録日から5年以内に中国商標評審委員会へ無効審判を請求できます。

2.対象商標が他人の先行著作権を侵害していると認定する3つの条件

① 対象商標と、先行著作権を有する他人の作品が同一または実質的に類似すること

先行著作権を有している事実を証明するには、著作権登録証、その作品が先に公開・発行されたことを示す証拠資料、その作品が先に創作・完成されて著作権を取得していたことを示す証拠資料などが必要です。日本をはじめ、中国以外で取得した著作権登録証やその他の証拠資料も使用できます。

なお、「同一」とは、対象商標と先行作品が目視において、ほぼ差がないことを、「実質的に類似する」とは、主に先行作品の独創性部分を考慮していることを指します。

つまり、対象商標と先行作品の独創性部分が同一または類似であれば、両者は実質的に類似すると判定されます。

ただし、簡単な表現の作品については、対象商標と先行作品の図柄は線のデザインや色彩、構図においひょうせつてほぼ完全に一致し、かつ、剽窃が明らかな場合、実質的に類似すると判定されます。

② 対象商標の出願人が先行著作権を有する他人の作品と接触したことがある、または接触した可能性があること

ここでいう「接触」とは、先行作品の存在を知っている、または知っていてしかるべきであることを指します。通常、この証明方法は2つあります。

1つは対象商標の出願人が先行作品を見たり読んだりしたことがあるという直接証拠による証明です。

もう1つは間接証拠による証明です。対象商標の出願日前に先行作品が公開・発行、展示、宣伝などの形でオープンにされていた場合、対象商標の出願人がこの先行作品と接触した可能性があると判断されます。

③対象商標の出願人が著作権者の許諾を得ていないこと

上記許諾を得ていることは対象商標の出願人が証明しなければなりません。

3.おわりに

貴社の場合、中国では商標を登録していないとしても、図形(ロゴ)の先行著作権を有することを示す証拠を提供し、かつ、前記した条件を満たせば、異議申立てまたは無効審判を利用して権利を保護することができます。

とはいえ、こうした事態に陥ることを未然に防ぐため、関連図形(ロゴ)や文字について、早めに商標登録することをお勧めします。