1.概要

中国の国家工商総局商標評審委員会(以下、商評委という。日本の審判部に相当)は、公式サイトで2015年における商標評審事件の審決取消訴訟状況の総括分析報告を公表した。分析報告によると、2015年に商評委が審決を下した商標評審案件が10万8千件、受領した裁判所の一審判決書が6,618通(前年比59.2%増)、二審判決書が2,094通(前年比51.6%増)、再審判決書が179 通(前年比244.2%増)であった。裁判所で既に結審した事件のうち、商評委の2015年の一審の勝訴率は 81.4%で、二審の勝訴率は70.8%であった。

2015年、当事者が商評委の審決を不服として北京知的財産権裁判所および北京市第一中級人民裁判所に審決取消訴訟を提起した事件は計7,632件で、 2014年の7,452件に比べ2.4%増加した。なお、北京高等裁判所の二審手続きに入った商標評審事件は 2,012件、最高裁判所の再審の口頭弁論手続き又は再審手続きに入った事件は224件で、2014年の58件に比べ286.2%増加した。

(2)商評委の敗訴原因の割合・対比表

敗訴原因 2015年 2014年商標類似 22% 29% 商品類似 11% 16% 馳名商標(日本の著名商標に相当) 6% 10% 商標法10条1項(8)号の「不良な影響」 5% 10% 先使用され一定の影響力のある商標に対 2% 3% する先取り登録事情変更 15% 8% 共存契約 4% 3%

商標法10条1項(7)号(注1) 2% 0.1%

識別性 6% 5% その他の先行権利 6% 5% 団体商標、証明商標の審理 0.6% 0 2001年旧法44条4項の商標使用問題 6% 2% 欺瞞的な手段や不当な手段で登録された 1.2% 0.6% 新証拠の採用 14% 8% 手続き上の問題 6.2% 3.8%

(注1)商標法10条1項(7)号の内容:

欺瞞性を帯び、公衆に商品の品質等の特徴又は産地について誤認を生じさせやすいものは、商標として使用してはならない。 (3)敗訴の主要原因の解析

①事情変更および裁判所による新証拠の採用による敗訴 2015年、事情変更および裁判所による新証拠の採用を原因として、商評委の敗訴事件が大幅に増加した。事情変更には、引用商標の撤回、譲渡、未更新による無効などが含まれている。新証拠の採用について、裁判所は通常、当事者によって提出された証拠を制限せず、審判手続きにおいて提出されていない新証拠の提出を認めている。

②新旧商標法の過渡的な段階において、一部の問題について法律規定および審判標準が明確化されていないので、裁判所および商評委は商標法10条1項(7)号や先行権利(32条)などの問題において判断が一致しないことがある。

③裁判所は商標の共存登録の判断がさらに緩和され、類似商品の判断においても許可範囲がより広くなっている。

④裁判所および商評委は判断標準の理解や適用(具体的に、馳名商標の認定および保護、使用による識別性、証明商標と団体商標の審理、三年連続不使用など)について判断が一致しないことがある。

⑤商評委は審理中において手続き違反や商品類似の認定ミスなどの問題が生じた。

ソース:http://www.cicn.com.cn/zggsb/2016-09/20/cms91051article.shtml http://www.51tm.net/content-57-10992-1.html