2016年12月8日、北京知的財産裁判所は今まで賠償金額が最も高くなった判決を下した。北京握奇データシステム有限公司(握奇社)と恒宝股フン有限公司(恒宝社)の特許権侵害事件に対して、恒宝社の特許権侵害が成立したと認定され、直ちに権利侵害行為を停止すべきこと、握奇社に経済損失4900万元(約714万ドル)を賠償し、かつ合理的な支出100万元(約14.6万ドル)を支払うことを命じられた。今回の判決において、北京知的財産裁判所は初めて弁護士費用の賠償根拠を明確にした。
握奇社と恒宝社は金融分野の知能暗号化製品(USBKey、中国語で「U盾」という)を生産する企業である。握奇社の主張によると、恒宝社で製造して、中国全国に数十社の銀行に販売したUSBキー製品、およびこの権利侵害製品を使用してネットバンクで振込み取引をする時に使用した物理認証方法は、握奇社の「物理的な認証方法および電子装置」(特許番号:ZL200510105502.1)の特許権を侵害したとし、握奇社は恒宝社が直ちに侵害を停止し、かつ経済損失4900万元および合理的な支出100万元を支払うことを裁判所に請求した。
北京知的財産裁判所は恒宝社の行為が権利侵害を構成すると判断した。握奇社の4,900万元の賠償請求について、裁判所は審理で銀行などの事業体に調査・検証の方式で恒宝社から全国12社の銀行に販売した侵害製品の数を明らかにし、握奇社に主張された1件ごとの特許製品の合理的な利益を認定する前提で、最高裁の関連司法解釈に基づいて、「被告の販売量×原告の特許製品の利益」という算定方法を採用して、原告の実際損失4,814.2万元を算出した。
また、裁判所は、恒宝社が上記の12社の銀行以外の3社に侵害製品を販売したと確認した、恒宝社は販売データの証拠を持っているが、提供を拒否した。握奇社は業界の慣行に基づいて、恒宝社がこの3社の銀行に侵害製品を販売した利益が200万元以上であり、かつその中の85.8万元の損害賠償を請求した。北京知的財産裁判所は最高裁の司法解釈に規定された立証妨害規則に基づいて、握奇社の請求を認めた。裁判所は、最終的に4,900万元の総損害賠償額を支持した。
裁判所は、握奇社からの100万元の弁護士費用の賠償請求について、「依頼の必要性、事件の難易度、弁護士の実際の支出」等の要素を審理したうえ、握奇社の請求が合理的であると認めており、以上の審理原則を初めて確認した。
(特許賠償額の関連条文)
●中国特許法65条特許権侵害の賠償額は、当事者の協議により確定する。当事者の協議により確定することができない場合には、権利者が侵害により受けた損失又は侵害者が侵害によって得た利益に基づき確定する。被侵害者の損失又は侵害者が得た利益を確定することが困難であるときは、当該特許許諾使用料の倍数を参照し、合理的に確定する。特許権者の損失、侵害者の得た利益及び特許許諾使用料のいずれも確定が困難である場合、裁判所は特許権の種類、侵害行為の性質及び情状などの要素に基づいて1万元以上100万元以下の賠償を確定することができる。
特許権侵害の賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失に基づいて確定する。実際の損失の確定が困難な場合は、侵害者が侵害によって得た利益に基づいて確定することができる。権利者の損失又は侵害者の利益の確定が困難な場合は、特許実施許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。いずれも確定が困難な場合、裁判所は特許権の種類、侵害行為の性質及び情状等を考慮し、1万元以上100万元以下の賠償額を定めることができる。
●司法解釈「特許権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高裁判所の解釈」20条特許法65条に規定される権利侵害者が権利侵害によって得た利益は、当該権利侵害製品の市場販売総数に、権利侵害製品の単位ごとの合理的利益を乗じて得た額に基づいて計算することができる。権利侵害者が権利侵害により得た利益は、一般に権利侵害者の営業利益により計算し、完全に権利侵害を業とする権利侵害者に対しては、販売利益により計算することができる。
特許法65条に規定される権利者が権利侵害によって被った実際の損失は、権利侵害によって、特許権者による特許製品の販売量が減少した総数に、特許製品の単位ごとの合理的利益を乗じて得た額に基づいて計算することができる。特許権者による販売量が減少した総数確定が困難であるときは、権利侵害製品の市場販売総数に、特許製品の単位ごとの合理的利益を乗じて得た額について、権利者が権利侵害によって被った実際の損失とみなすことができる。
ソース:http://www.iprchn.com/Index_NewsContent.aspx?newsId=97273
