中国特許庁(CNIPA)は 2019 年 11 月 12 日、特許審査基準第2部分第9章の改正案(意見募集稿)を公表した。中国ではAI、ブロックチェーン、ビジネスモデルに関する特許出願が急増しているものの、従来の審査指南では発明該当性及び進歩性の面で、これらの発明が具体的にどのような基準で審査されるのかが明確ではなかった。

そのため今回の改正案では発明該当性及び進歩性に関し判断基準を明示するとともに、10 の例が公表された。今回の審査指南第2部第9章改正案のポイントは以下の通りである。

(1)審査の基本原則を確立した。即ち、審査において、技術的特徴と、アルゴリズムまたはビジネスの規則及び方法の特徴とを安易に分けて判断することではなく、請求項に記載された全ての内容を一体として考慮すべきであると強調した。

(2)アルゴリズム特徴またはビジネスの規則及び方法の特徴、並びに技術的特徴の両方を含む場合は、特許法第25条(注)により拒絶してはならないと明確化した。

(3)特許法第2条(注)の審査基準(技術的課題、技術的手段、技術的効果という「3要素」)を明確化した。アルゴリズムと具体的な技術応用分野との組み合わせにより技術的課題を解決できれば、特許法第2条の要件を満たす。

(4)技術的特徴、並びにアルゴリズム特徴またはビジネス規則及び方法の特徴との両方を含む場合、技術的特徴と機能において互いにサポートされ、相互的作用関係を有するアルゴリズム特徴またはビジネス規則及び方法の特徴、並びに該技術的特徴とを一体として考慮すべきである。

(5)明細書及びクレームの記載要件の具体化明細書において、例えば、アルゴリズムが具体的に技術分野とどのように組み合わせられるか、ユーザの体験効果などを記載するとともに、クレームにおいて、技術的特徴と機能において互いにサポートされ、相互的作用関係を有するアルゴリズム特徴またはビジネス規則及び方法を記載すべきであることを強調した。

(6)発明該当性及び進歩性に関する10の例が追加された。

上記10の例の主題(発明の名称)はそれぞれ、下記のとおりである。

例1:数学モデルの構築方法

例2:畳み込みニューラルネットワークモデルの訓練方法

例3:シェアサイクルの使用方法

例4:ブロックチェーンノード間の通信方法及び装置

例5:消費キャッシュバックの方法

例6:電力利用の特徴に基づく経済景気指数の分析方法

例7:マルチセンサ情報に基づくヒューマノイドロボットの転倒状態の検出方法

例8:協調共進化及び多集団遺伝的アルゴリズムに基づく複数ロボットの経路計画システム

例9:物流配送方法

例10:動的な観点の変化を可視化する方法

例1は抽象的な数学モデルの構築方法に関するものであり、具体的な応用分野との組み合わせに係らず、かつ、技術的特徴を含めていないので、中国特許法第25条の不特許事由「知的活動の法則及び方法」に属する。

例2、3、4はAI、ビジネスモード、ブロックチェーン分野の特許の対象となる発明であり、例5、6は反面の例である。

例7および例9は、技術的特徴と機能において互いにサポートされ、相互的作用関係を有するアルゴリズム特徴またはビジネス規則及び方法の特徴、並びに該技術的特徴を一体として考慮したので進歩性を有する例である。

例8および例10は、引用文献には相応の内容が開示されているので進歩性を有しない例である。

(注) 中国特許法第25条:

次に掲げるものに対しては、特許権を付与しない。

(2)知的活動の法則及び方法。

中国特許法第2条:

本法でいう発明創造とは、発明、実用新案及び意匠をいう。発明とは、製品、方法、又はその改良について出された新しい技術をいう。ソース:http://www.sipo.gov.cn/gztz/1143646.htm