1.関連法律規定

商標法41条および商標法実施条例17条により、登録商標について、登録者の名義、住所またはその他の登録事項を変更する必要があるときは、変更手続きをしなければなりません。出願人は商標出願後、登録前でも、同様の変更が生じたときは、商標局へ変更手続きを行うことができます。

2.名義・住所変更の利害分析

商標法49条により、商標登録者は登録商標を使用する過程において、登録商標、登録者の名義、住所またはその他の登録事項を無許可で変更した場合、地方工商行政管理部門が期限を定めて是正を命じます。期間を満了しても是正されないときは、商標局によりその登録商標が取り消されます。

商標登録者(特に、外国の登録者)の名義・住所の変更有無を地方工商行政管理部門が自発的に審査することはあまりありません。また、商標局へ名義・住所の変更手続きをする期限は規定されていないので、実務的に、外国の登録者が変更申請を行わない場合の弊害は商標法49条の規定ではなく、以下の点にあります。

(1)自社の先行商標による拒絶

例えば、A社は5類において文字商標「TOMO」を登録しており、A社の名義がB社に変更された後に、同じ5類において図形化された「TOMO」を出願したとします。この「TOMO」(図形)は上記「TOMO」 (文字)と類似しているので、商標局はA社の上記商標「TOMO」(文字)を先行商標とした理由でB社の商標「TOMO」(図形)を拒絶することになります。

このように社名変更後に商標局へ変更手続きをしないと、自社の後願商標が自社の先行商標の存在を理由に拒絶される可能性があります。

(2)譲渡、ライセンス、更新など

登録商標の譲渡、ライセンス、更新などを行う場合、商標局は登録者の主体資格証明における情報が登録商標の情報と一致するかどうかを審査します。名義・住所が一致しないと確認された場合、譲渡、ライセンス、更新の申請を拒絶し、変更手続きを先に行うよう求めます。

(3)不使用取消請求の答弁

登録商標が継続して3年間使用されていなかったことを理由として不使用取消を請求された場合、商標登録者は登録商標を使用していた証拠を提供する必要があります。

登録者の名義が変更されていると、商標の使用証拠が複数ある場合に、それらの名義が一致しなくなるおそれがあります。例えば、販売契約はA社名義で署名されたものであっても、出荷および費用の支払いが社名変更後のB社名義で行われていたら、登録者はこれら証拠の名義が不一致である事情を説明しなければなりません。

こうした事態を避けるには、速やかに変更手続きをすべきです。

3.変更申請タイミングのアドバイス

一般的に、企業は出願中または登録商標はあるが、①譲渡、②更新、③取消請求の答弁、④新たな同一・類似の商標を出願する予定がない場合は、すぐに変更手続きを行う必要はありません。

一方、同一・類似の商標を出願する、または近い時期に譲渡、更新、取消請求の答弁をする場合などは、商標局へ速やかに変更手続きを行うほうがよいと思います。