2020年9月11日に中国最高裁判所(最高裁)は、特許権の付与・確認に関する司法解釈を公表した。当該司法解釈は32条から構成されており、クレームの解釈、実施可能要件、進歩性、意匠の登録標準、証拠規則などについて明確化された。当該司法解釈は 2020年9月12日から施行された。

以下、主要条文を説明する。 (1)クレームの解釈 (第2条)

裁判所は、当業者が特許請求の範囲、明細書及び図面を読んで理解できた通常の意味により請求項の用語を確定しなければならない。請求項の用語が明細書及び図面において明らかに定義され、又は説明されているときは、それに従って確定する。

前項の規定に従っては確定することができないときは、当業者が通常用いる技術辞典、技術マニュアル、工具書、教科書、国家又は業界の技術標準等を勘案して確定することができる。

(第3条)

裁判所は、特許権の確認をする行政事件において請求項の用語を確定するとき、既に特許権侵害民事事件の効力を生じた裁判に採用された特許権者の関連陳述を参考にすることができる。

第2条の規定より、請求項の解釈は「内部証拠優先」の原則に従うべきである。まず、特許請求の範囲、明細書及び図面を当業者が読んで理解できる通常の意味で請求項の用語を定義しなければならない。次に、請求項の用語は、明細書及び図面において明確に定義され、又は説明されており、その定義に準じる。最後に、上記の方法でまだ規定できない場合、「外部証拠」を利用することができる。つまり、当業者が通常採用する技術辞典、技術マニュアル、工具書(辞典・年鑑・百科事典などの総称)、教科書、国家または業界技術標準などを結び付けて定義する。

第 3 条の規定により、裁判所が特許権行政事件において請求項の用語を確定するとき、特許侵害民事事件の発効裁判に採用された特許権者の関連陳述を参照することができる。この規定の目的は、特許権者が特許の権利確認手続と権利侵害訴訟手続のいずれにおいても、請求項の用語の意味を慎重かつ誠実に説明することを誘導して督促し、権利者が異なる手続きで異なる陳述を行って両方の利益を得ることを避けるためである。

なお、特許請求の範囲と明細書は、請求項の用語を解釈するための根本的な根拠であるため、特許権者の特許侵害訴訟手続における陳述は、単に参考作用を有する。

上記により、裁判所の一審判決は商標評審委員会の審決を撤回し、新たな審決を下すよう命じた。商標評審委員会は不服として、北京市高等裁判所に控訴した。

(2)明細書における技術的内容の虚構・捏造 (第 5 条)

特許出願人、特許権者が信義誠実の原則に反して、明細書及び図面における具体的な実施態様、技術的効果及びデータ、図表等の関係技術的内容を虚構し、捏造し、これに基づいて関係請求項が特許法の関係規定に適合しないと主張したことを証明する証拠が当事者にあるとき、裁判所は、支持しなければならない。

特許権の付与・確認に関する行政事件の審査・審理実務において、特許出願人、特許権者が信義誠実の原則に反して、明細書及び図面の中の技術的内容を虚構し、捏造する場合がある。特に化学、医薬、材料などのような実験データの検証が必要な技術分野において際立っており、通常の特許出願、審査及び審理の秩序を著しく乱している。したがって、第 5条の規定において、特許出願人、特許権者が信義誠実の原則に反して関連技術の内容を虚構し、捏造することを証明する証拠を当事者が有した場合、裁判所は、当事者の請求に基づき、関連する請求項が特許法の関連規定に合致しないと認定し、これにより関連する請求項が無効され、または関連特許出願は却下されるべきであると認定することができる。 (3)設計自由度 (第 14 条)

裁判所は、意匠製品の一般消費者が有する知識水準及び認知能力を認定するとき、出願日時点における意匠製品の設計自由度(対応中国語:設計空間)を考慮しなければならない。設計自由度が大きいとき、裁判所は、一般消費者が異なるデザイン同士の小さな区別に通常容易に注意しないと認定することができる。設計自由度が小さいとき、裁判所は、一般消費者が異なるデザイン同士の小さな区別に通常より容易に注意すると認定することができる。

前項にいう設計自由度の認定について、裁判所は、次に掲げる要素を総合的に考慮することができる。

(1)製品の機能、用途。

(2)先行デザインの全体的状況。

(3)ありふれたデザイン。

(4)法律、行政法規の強行規定。

(5)国家、業界の技術標準。

(6)考慮すべきその他の要素。

上記規定により、どのように意匠製品の設計自由度の大きさを確定するかについて操作可能性が高くなる。つまり、設計集中程度という通常考慮する要素以外に、「特定機能を実現するために採用しなければならない設計であるかどうか、特定用途で決定された有限な設計であるかどうか、製品のありふれたデザインであるかどうか、同種類の製品標準の制限で採用された設計であるかどうか」などの要素に基づいて設計自由度の大きさを判断することがさらに明確化された。

ソース: https://www.chinacourt.org/article/detail/2020/09/id/5453569.s#html https://www.chinacourt.org/article/detail/2020/09/id/5453571.shtml