2019年1月1日以降における中国高級裁判所、知的財産権裁判所、中級裁判所による特許、実用新案、植物新品種、集積回路レイアウト設計、営業秘密、コンピュータソフトウェア、独占に関する一審民事事件の判決・裁定に対し、不服として控訴された事件は、最高裁判所知的財産権法廷(以下、法廷ともいう)によって審理されている。
2021年2月に、最高裁は「最高裁知的財産権法廷年度報告(2020)」を公布し、最高裁知的財産権法廷が 2020年に審理したコンピュータソフトウェア関連の二審事件の特徴を以下の通り報告した。
1つめに、二審事件件数が大幅に増加し、類型が比較的集中している。このような事件は2019年の142件から2020年には360件に増加し、伸び率が154%であった。事件理由の類型について、主に、コンピュータソフトウェア開発契約紛争およびコンピュータソフトウェア著作権侵害紛争であり、それぞれ69%および 21%を占めている。
2つめに、一審の裁判金額のみに対して控訴した事件が多く、調停率・控訴撤回率が比較的に高い。法廷によって結審されたコンピュータソフトウェア実体事件は298件であり、調停または控訴撤回で結審された事件は118件であり、40%を占めている。
3つめに、事件の争点が比較的集中しており、事実の認定が複雑であった。コンピュータソフトウェア開発契約紛争において、争点は主に、当事者によるソフトウェア開発義務履行の有無および契約違法責任負担の有無であり、コンピュータソフトウェア著作権侵害紛争において、争点は主にイ号ソフトウェアと対象ソフトウェアとの技術対比に集中している。
最高裁知的財産権法廷は同法廷によって結審された2020年の代表事例を公布した。以下は、コンピュータソフトウェア事件に係る3件の代表事例である。
①コンピュータソフトウェア著作権の権利侵害判断【事件番号】(2020)最高法知民終209号【控訴人】北京君意東方電泳設備有限公司【被控訴人】北京東方瑞利科技有限公司【事件類型】コンピュータソフトウェア著作権侵害紛争事件【裁判ルール】コンピュータソフトウェア著作権の権利侵害判断について、「接触+実質的に類似」の基準に従う。ソースコードの比較は必ずしもコンピュータソフトウェア著作権の権利侵害判断の必須要件ではない。
②技術措置有効性の認定【事件番号】(2020)最高法知民終1206号【控訴人】未清華【被控訴人】得力富企業股份有限公司【事件類型】コンピュータソフトウェア著作権侵害紛争事件【裁判ルール】著作権法において規定された著作権の技術措置とは、正常な使用環境において権利侵害行為を有効に阻止することができる技術措置をいう。技術措置が完全に回避・クラックできることは求められない。
③コンピュータソフトウェア開発契約における分割支払いの理解
【事件番号】(2020)最高法知民終1545号【控訴人】武漢中新藍ソフトウェア有限公司、李群【被控訴人】武漢市精科緑源科技有限公司【事件類型】コンピュータソフトウェア開発契約紛争事件【裁判ルール】コンピュータソフトウェア開発契約は履行期間が長く、ソフトウェア機能のニーズが開発プロセスの動きに伴って調整するとの特徴を有する。それに応じて、コンピュータソフトウェア開発分野では複数のフェーズにわけて比例で金額を支払う習慣がある。各開発フェーズは互いに依存し合い、緊密に関連することに鑑み、委任者は各フェーズで支払った金額がその対応する開発フェーズの作業成果の対価のみであると理解すべきかどうかについて、契約の約定および履行の状況によって具体的に判断する必要がある。
ソース:https://www.chinacourt.org/article/detail/2021/02/id/5825042.shtml

