中国で2021年6月1日から施行された第4次改正特許法において、部分意匠制度が導入された。中国特許庁(CNIPA)は2021年8月3日に「特許審査基準改正草案(意見募集稿)」を公表した。そこには部分意匠の具体的な規定と要求が含まれている。本稿における部分意匠の出願要件及び関連審査規定は、当該意見募集稿に基づいて整理された内容である。

1.部分意匠の定義

部分意匠とは、製品の部分的な形状、図案またはその結合及び色彩と形、図案の結合によって作られた、美感に富み、工業応用に適した新しい設計をいう。

製品の分割できない部分を保護することを要求する場合、部分意匠の方式で出願しなければならない。例えば「椅子の背もたれ彫刻」、「車のタイヤの表面」などである。

2.部分意匠の製品名

部分意匠を出願する場合、製品名に保護を求める部分とその所在の全体製品を明記しなければならない。例えば、「自動車のドア」、「携帯電話のカメラ」などである。

3.部分意匠の図面または写真の提出方式

特許法実施細則第三十条第二項の規定により、部分意匠を出願する場合は、全体の製品の図面を提出し、破線と実線を結合する方法またはその他の方法で保護を求める内容を表明しなければならない。

全体の製品の投影図は、保護を求める製品の部分デザイン及び全体製品における部分デザインの位置と比例関係を明確に表示しなければならない。保護を求める部分は、立体形状を含む場合、提出された投影図にはその部分を明確に表示できる斜視図が含まれなければならない。

提出された投影図は、保護を求める部分と他の部分を明確に区別することができるものである必要がある。実線と破線を結合する方式で保護を求める内容を示す場合、実線は保護を求める部分を表し、破線は他の部分を表す。また、保護を求める内容を示す他の方法(例えば、保護を求めない部分を単一の色の半透明層でカバーするなど)を採用してもよい。必要に応じて、一点鎖線で部分意匠において保護を求める部分と他の部分との境界線を表してもよい。

部分意匠の図面提出方式は実線と破線を結合する方式で保護を求める内容を示すことができるので、図面作成の要求は以下のように調整される。

図面は中国の技術製図と機械製図国家標準における正射影関係、線幅及び断面標識に関する規定を参照して描かれなければならない。陰影線や一点鎖線などの線でデザインの形状を表してはいけない。平行な二点鎖線や自然破線で細長いものの省略部分を表すことができる。断面の位置と方向、拡大部、透明部などを指示線で表すことができるが、中心線、寸法線などの不要な線や標識があってはいけない。

4.部分意匠の「簡単な説明」

部分意匠を出願する場合、「簡単な説明」は下記の規定に適合していなければならない。

(1) 保護を求める部分意匠を実線と破線を結合する方式以外の方式で示す場合は、保護を求める部分を簡潔に説明する。

(2) 保護を求める部分と他の部分との境界線を一点鎖線で表す場合、必要な場合は「簡単な説明」に明記する。

(3) 必要に応じて保護を求める部分意匠の用途を明記し、製品名に反映される用途に対応する。

(4) 指定された最も設計の要点を示す図面または写真には、保護を求める部分のデザインが含まれていなければならない。

5. GUI に関する製品の部分意匠

グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)に関する製品の意匠とは、製品の設計要点として GUI を含むデザインを指す。出願人は製品全体の意匠と部分意匠の方式で出願することができる。

設計要点が GUI のみにある製品意匠について、出願人は部分意匠の方式で出願することができる。部分意匠の方式は、GUI が適用される製品を含む、または GUI が適用される製品を含まないという2つの方式がある。

「簡単な説明」には、設計要点が GUI または GUI の一部のみにあることを明記しなければならない。

(1)GUI が適用される製品を含む方式で出願する GUI 設計の最終製品における位置と比例関係を明確に表示する必要がある場合、出願人は GUI が適用される製品を含む方式で出願することができる。

出願人は、GUI に関する製品の正投影図を提出し、必要に応じて GUI の投影図も提出しなければならない。投影図の提出方式は、本審査基準の第三部分(部分意匠の意匠図面または写真の提出方式)の規定を満たさなければならない。

出願人が GUI の一部で意匠を出願する場合、製品名は、保護を要求する部分、例えば「携帯電話の移動支払い GUI の検索欄」を明記しなければならない。意匠の「簡単な説明」には、保護を求める部分意匠の用途も明記しなければならない。

(2)GUI が適用される製品を含まない方式で出願する任意の電子機器に適用可能な GUI については、出願人は、GUI が適用される製品を含まない方式で出願することができる。

製品名には「電子機器」というキーワードが必要である。例えば、「電子機器用のスクリーン・オンデマンド・GUI」、「電子機器用の道路ナビゲーション GUI 」などである。

出願人は、GUI の投影図のみを提出することができる。「簡単な説明」には製品の用途は電子機器として概括できる。

出願人が GUI の一部で意匠を出願する場合、製品名は、保護を要求する部分も明記しなければならない。

例えば、「電子機器の移動支払い GUI の検索欄」。「簡単な説明」には、保護を求める部分意匠の用途も明記しなければならない。 6.部分意匠権を付与しない状況

(1)製品に比較的分割可能な独立領域を形成できない、または比較的完備した設計ユニットを構成できない部分意匠には意匠権を付与できない。例えば、コップの取っ手の1本の転換線、任意で切り取るメガネのレンズの不規則な部分などである。

(2)保護を求める部分意匠が、製品の表面の図案、または、図案と色彩とを結合した設計のみである場合、意匠権を付与できない。例えば、バイクの表面の図案などである。

7.部分意匠の併合出願

同じ製品の2つまたは2つ以上の接続関係のない部分意匠は、機能または設計上の関連があり、特定の視覚効果を形成する場合、1件の意匠として出願することができる。例えば、メガネの両足のデザイン、携帯電話の四つの角のデザインなどである。

セット製品の各項目のデザインは製品の部分デザインではなく、製品の全体のデザインでなければならない。

8.部分意匠の分割出願

(1)原出願は製品全体の意匠であり、その一部を分割出願として提出することは許されない。例えば、意匠出願の保護を求めたのはオートバイの意匠であり、オートバイの部品又は部分のデザインは分割出願として提出することができない。

(2)原出願が製品の部分意匠である場合、その全体または他の部分のデザインを分割出願として提出することは許されない。

9. 部分意匠の自発補正が認められない状況下記の場合は、意匠出願日から2カ月までの自発補正期間以降に補正され、または通知書への応答時に補正されたものであれば、認められない。

(1)全体の意匠を部分意匠に補正する場合 (2)部分意匠を全体の意匠に補正する場合

(3)同じ製品全体の中の一部のデザインを別の部分のデザインに補正する場合