1.事例の概要

本文で検討する商標の見本

本件商標:

出願番号:第4871143号指定役務(第35類):商業または広告目的の展示会の組織、他人の仲介者(他の企業を代表して商品や役務を購入する)、他人のための販売促進、輸出入代行サービス。

第3者は、「3年間連続して使用されていない」ことを理由に、上記すべての指定役務について上記登録商標の取り消しを申請しました。登録者は、「他人のための販売促進」役務における登録商標の真正かつ公然かつ合法的な商業上の使用を証明するため、インターネット上での商品の展示と販売に関する資料、ビジネス登録書類、従業員トレーニングマニュアル、展示会のチケット、サービス拠点の看板、製品ラベル、売上領収書と請求書などを含む使用の証拠を中国特許庁(CNIP A)へ提出しました。「他人のための販売促進」以外の上記指定役務については、登録者は商標の使用証拠を提出しませんでした。

審査官より審査した結果、登録者が提出した販売資料は登録者が商品を販売しているだけを証明でき、サービスの提供を証明できず、残りの証拠は使用されたサービスが「他人のための販売促進」であることを示していないと判断しました。したがって、証拠全体は、「他人のための販売促進」役務における登録商標の真正かつ公然かつ合法的な商業上の使用を証明するには不十分であると判断されました。最終的に、本件商標はすべての上記指定役務において取り消されました。

2.事例分析本事例の争点は、登録者が一定期間内に「他人のための販売促進」役務において真正かつ公然かつ合法的な商業上の使用を行ったかどうかであります。

「他人のための販売促進」役務は、ニース分類の第3 5類に属します。CNIPAがニース分類に基づいて作成した「類似商品および役務区分表」によると、区分表第 35類の役務には主に商業又は工業企業の業務管理、運営、組織と行政管理に関連するサービス、及び広告、マーケティングと販売促進に係るサービスが含まれています。ただし、分類上の要件によれば、商品の販売は第35類の役務とみなされません。2022年に、CNIPAは「第35類の役務に係る商標の登録出願と使用に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」と略称)を発行し、第35類の役務項目の内包的意味と外延的意味についてさらに明確にしました。

ガイドラインによると、第35類の役務の主な目的は、他人に関する商業経営又は管理、他人の工商企業の業務活動又は商業機能の管理を支援すること、及び様々な伝播方式を通じて他人のために公衆に広告宣伝を行うサービスを提供することであります。第35類の役務の最も重要な特徴は、関連役務が他人のために提供されるものであって、商標権者自身の業務上のニーズのために行われる行為ではないということであります。

「他人のための販売促進」役務について、ガイドラインでは、市場における他人の商品や役務の売上やニーズの向上を支援するために、具体的な提案、企画、コンサルティング、その他の役務を提供することを指すと明記されています。これには、小売または卸売を通じて消費者に自分の商品や役務を直接販売することは含まれません。また、一定の差額を稼ぐために他人の商品や役務を販売することも含まれません。言い換えれば、単純な商品販売行為は「他人のための販売促進」役務には該当しません。市場主体が他人のために広告、製品の展示、販売促進およびその他のサービスを提供する場合にのみ、それは「他人のための販売促進」役務を構成することができます。

本事例の場合、登録者は、衣類、ギフト、日用品等を販売する専門店舗であります。他人の商品を購入し、消費者に販売して一定の価格差を得ることが登録者の日常的な営業活動となります。ウェブページのスクリーンショット、製品ラベル、販売請求書など、登録者によって提出された使用の証拠は、消費者に対する衣類、カップ、キャンドルなどの小売販売を示すものであり、生産者や販売促進のための広告や宣伝を提供するものではありません。したがって、本件商標が「他人のための販売促進」役務に使用されていることを証明することはできません。

3.結論一般的に、自社製品の製造または販売のみを事業範囲とし、他の市場主体または個人に対する広告サービスの提供や経営管理支援その他のサービスの提供に従事しない一般型商品製造販売企業については、第35類の関連役務の商標登録を出願する必要はありません。仮に第35類において登録されていたとしても、実際の使用が証明できないため、後日登録が取り消されるおそれがあります。

店舗、スーパーマーケット、ショッピングモールなど、他人の商品や役務を販売して価格差を得る市場主体は、商品を販売するだけであれば、第35類の役務の登録商標を出願する必要はありません。一方、商品の販売だけでなく、広告、商品の展示、販売促進などのサービスも提供した場合、関係主体は第35類役務の登録商標を出願する必要があります。なお、他人からの取消申請に対応するため、使用証拠の保持にも注意を要します。