中国弁理士謝佳艶
中国商標法及びその実施条例の関連規定に基づき、商標登録を出願する際に、出願人はニース分類に基づいて制定された「類似商品及び役務区分表」(以下区分表という)で公布された商品と役務に従って、その出願した登録商標の区分と名称を記入しなければなりません。その中に第35類は重要でありながら問題になりやすい区分でありますので、該区分に関する注意点をご紹介します。
1. 第35類の役務の特徴
区分表の規定により、第35類の役務には、主に商業または工業に従事する企業の業務管理、運営、組織および行政管理に関するサービスならびに広告・マーケティング・プロモーションサービスを含みます。ただし、商品の販売は第35類の役務とはみなされません。
第35類の役務の主な目的は、商業に従事する企業に対する経営・管理の支援、企業の業務活動または商業機能の管理の支援、およびさまざまな伝達手段を通じて他人のために公衆に広告宣伝を行うサービスを提供することです。第35類の役務の最も重要な特徴は、関連するサービスが他人のために提供されるものであって、権利者自身の業務上の需要のために行われる行為ではないことにあります。
なお、第35類の役務における「他人のための販売促進」とは、売り上げや市場ニーズを高めるための助言・企画・コンサルティングなどのサービスを提供することを指します。小売りや卸売りなどを通じて消費者に直接商品・サービスを販売・提供することは含まれません。つまり、単純な商品の販売は「他人のための販売促進」に該当しません。
また、第35類の3509類似群の「薬品、医療用品の小売りまたは卸売りサービス」は、国の認可と資格証明書を取得する必要がある薬剤および医療補助品を収集・分類し(運搬を除く)、顧客がこれらの商品を見、購入するために便宜を図ることです。
2 .第35類の役務を指定する際の注意点
通常、一般的な商品製造企業は、自社の商品を製造・販売することを経営範囲とし、他人に対して、広告・商業管理補助などのサービスを提供しません。また、小売業や卸売業など、他人の商品を販売して一定の差額を得るだけの場合も、その経営活働は商品の販売に属し、他人のために販売促進するサービスではないといえます。これらのようなケースは第35類を指定して出願する必要はありません。
一方、大型デパートやスーパーマーケットなどでは、商品の販売以外に、イベント・プロモーションなどのサービスを提供することがあります。この場合は第35 類での出願を検討しましょう。
サービス内容が他人に広告・商業管理補助・販売促進などを提供するものであることが判明したときは、区分表における第35類の内容に従って、規範的な役務項目を選択するか、中国商標局が公表したその他の受け入れ可能な項目を選択すべきです。もしこれらに適切な役務項目を見つけられない場合は、役務の内容をできるだけ具体的かつ明確に表現し、参考のための説明資料を中国商標局へ提出する必要があります。
なお、第35類の役務は単純な商品の販売行為を含まないため、3509類似群の「薬品、医療用品の小売りまたは卸売りサービス」を除いて、「小売り」「卸売り」の文字が含まれる商品(役務)項目として中国商標局に認められることは通常ありません。この点は多くの国と異なっているので、特に注意が必要です。商品の販売に関するサービスは、「他人のための販売促進」「マーケティング」などの指定を検討してください。
3.指定商品(役務)が非規範な場合の対応
中国商標局に直接提出する商標登録出願は、方式審査と実体審査の2段階に分けられます。指定商品(役務) の審査は方式審査の段階に行われており、指定商品(役務)が非規範な場合、中国商標局から補正通知書が下され、商標出願人は非規範な商品(役務)項目を規範な商品(役務)項目に補正し、または、非規範な商品(役務) 項目を削除する補正で対応することができます。補正の機会は1回のみあり、補正が合格であれば、商標出願は受理され、実体審査の段階に移行します。実体審査の段階で、類似商標が存在するかどうか、登録禁止規定に違反しているかどうかなどを審査します。補正が合格ではなければ、商標出願は受理されず、その効力を失います。
マドリッドルートを通じて中国を指定する国際出願について、方式審査と実体審査が同時に行われます。もし指定商品(役務)名が非規範であり、または、類似商標を見つけた場合、商標局は直接拒絶通知を発行します。商標出願人は拒絶理由を克服するように再審を提出することができます。商品(役務)の非規範に関する拒絶理由については、商標局に中国区分表の要求に従って商品(役務)項目を補正することを説明する必要があります。同時に、WIPOに商品(役務)項目を補正する単独請求を提出します。商品(役務)の補正がWIPOに認められた後に、中国商標局は補正された商品(役務) 項目を再審査して、決定を下します。
4.まとめ
第35類には様々な役務項目が含まれており、一見すれば多くの企業サービス内容が網羅されているように見えますが、実際には他人のためにサービスを提供することに制限されているため、すべての企業が第35類の商標出願をする必要があるわけではありません。自社のサービスの性質をよく分析して、不必要な商標出願をしないようにする必要があります。
また、「商品の販売」サービスが受けいれられるかどうかは各国の規定によって異なる場合があります。出願人は複数の国で商標出願する場合、商標出願の補正や拒絶がされないように商品項目に適切な調整を行う必要があります。



