中国はニース協定の参加国として、ニース分類(注1)を採用すると共にニース分類に基づき「類似商品及び役務区分表」(以下、「区分表」という)を制定した。商品・役務の表示に関する中国の審査基準は厳しいため、出願人はなるべくニース分類表及び区分表に従って商品・役務を指定する方がよい。

(注1:2012年1月1日より、中国では「ニース分類」の第10版を使用している。)

また、中国商標出願時の指定商品・役務をどのように上手に選択するかは、多くの出願人が持つ課題であると思われる。そこで商標代理の実務に基づき、当方の経験を下記のとおり紹介する。

1.中国は1商標1区分の商標出願形式を採用している。従って、一つの出願には一つの区分の商品・役務の項目のみを指定できる。すなわち、異なる区分の商品・役務は異なる商標出願としなければならない。

2.区分表には区分ごとに注釈があり、商品・役務の項目をそれぞれのグループに分類している。商標出願する際には、注釈部分及びグループ名称を指定商品として選択することはできず、各類に属する具体的な商品・役務、すなわち区分表で後ろに6桁の数字が付された商品・役務名称を指定しなければならない。

例えば、下記2907乳及び乳製品の例について、「乳及び乳製品」はグループ名称であるので、指定商品とすることができない。後ろに6桁の数字「290163」が付されている商品名称「豆乳(牛乳代替物)」を指定商品として選択することができる。

2907乳及び乳製品 (一)豆乳(牛乳代替物)290163

3.外国語の商品・役務に関して、中国語訳は正確かつ簡単明瞭でなければならない。特に専門性が高い商品・役務においては、用語をなるべく中国の習慣に一致させた方がよいと思われる。一つの商品について、ニース分類表または区分表に正式名称がある場合、この規範的名称を使用するべきである。商品・役務に長い修飾語が付いている場合、規範性、具体性がなくなり易いので、商品の指定を再検討する必要がある。この際、以下の2点に留意すべきである。

①広範囲かつ規範的な名称を探して、取り替えることができるか否かを考える

例えば「training suits for football」は規範性がないが、「clothing」は規範的で、かつ範囲が広い。

②具体的な名称を探して、取り替えることができるか否かを考える

例えば「services for providing food and drink」は規範性がないため、「restaurant; bars, tea house」に変更してよいと思われる。

4.商品・役務が10項目以内であれば、商標局の費用 (注2)は同様である。従って、出願人は現在実際に経営する商品・役務が10項目に満たない場合でも、なるべく10 項目の商品・役務を指定したほうがよい。また、この10項目にできる限り多くの類似商品・役務が含まれるようにすることで、出願費用を充分に利用できるのみならず、商標の保護範囲を拡大することができる。

(注2:指定商品/役務が10項目を超える場合、10項目以降は1項目ごとにRMB100元(約USD16)が発生する。)

5.商品・役務項目そのものは既に具体的かつ規範的であるが、商品数が多い(10項目を超える)場合、出願人は範囲が広い商品・役務を選択して取り替えるほうがよい。これにより出願コストを節約でき、商標の保護範囲も拡大することができる。

6.出願人は外国出願に基づく優先権主張を伴い中国へ商標出願する際、中国での指定商品・役務が優先権出願の範囲を超えてはいけない。従って、規範性がない商品・役務については、限定または具体化する方法でしか補正することができない。

7.ニース分類表及び区分表で適当かつ規範的な商品名称が見つからない場合、出願人は自ら表現した商品名称で先に出願し、オフィスアクションが発行されてから補正を行うことができる。補正の機会が何度もある。出願人は審査官への参考資料として、商品・役務の説明書及び実物の図を送付することができる。