近年、非侵害確認訴訟は知的財産権裁判実務で注目され、実務的に重要な意味を持つようになっている。そこで本稿では、商標権非侵害確認訴訟について検討する。

1. 非侵害確認訴訟の提起について

1.1原告は「訴えの利益」を有する

「利益なければ訴えなし」の法理に基づく。訴訟要件の 1つとして、訴えの利益があることは原告提訴および裁判所判決の前提となる。訴えの利益とは、民事権益が侵害される場合や、他人と民事紛争が発生する場合に、民事訴訟を用いて救済を与える必要性を指す。

商標権非侵害確認訴訟の提起の前提条件として、商標権者が(非侵害確認訴訟の)原告および利害関係者に侵害の警告を発したことが挙げられる。権利者の侵害警告により、原告の権利が不安定な状態に陥るからである。侵害被疑者の訴えの利益は、権利者の侵害警告には合法性および正当性があるかどうかを訴訟で確認して、このような不安定な状態を解除し、自分の行為が侵害を構成するかどうかを確認し、さらに、これにより自らの生産· 経営行為を変更する必要があるかどうかを決定することにある。侵害被疑者は訴えの利益を有することにより、法律により訴権を有し、さらに、単独で非侵害確認訴訟を提起できるようになる。

1.2非侵害確認訴訟の受理要件

北京市第二中級裁判所で結審された海洋出版社Vs周小璞ら31人の著作権非侵害確認紛争事件において、裁判所は、被告が原告に対して提訴しておらず、原告には被告と直接の利害関係がないとの理由で、提訴を棄却した。

この判決から、提訴は実体権利に基づくべきこと;非侵害の主張は独立した実体的権利ではなく、単に知的財産権訴訟における抗弁権であること;そして、知的財産権が絶対権であるために、権利者に対して非侵害確認訴訟を提起することができれば、権利者が絶え間ない訴訟に陥ってしまうことが考えられる。

この観点については、検討すべきところがある。実体の権利義務主体と訴訟上の権利義務主体との混同が生じている。この観点から、実体法上の権利主体のみが原告の資格を有し、実体法上の義務主体は原告として提訴することができず、被告として抗弁権しか行使できないことがわかる。しかし、実際には、知的財産権は絶対権であるが、一旦権利者が特定の者に侵害の警告を発すると、権利と義務の主体が特定化され、権利者と被警告人との間に相対的な法律関係が形成されることになる。

もっとも、上記の見解には実務上の合理的な懸念もある。すなわち、権利者が不必要な訴訟の増加に陥ってしまうことを避けるために、非侵害確認訴訟の受理要件を制限する必要がある。

現在の制限要件は主に最高裁判所(2001)民三他字第4号回答書に規定される「経営者は原告の製品が権利侵害の嫌疑がある旨の書面を送付する」である。ここで、「書面の送付」とはただこの事件における1つの侵害警告方式であることに注意すべきである。実際には、権利者は弁護士声明、行政機関の取り締まり、メディアへの披露などの方式でも警告を発することができる。

これにより、当事者の間の権利義務関係を相対化して、被警告人による非侵害確認訴訟提起の受理要件が具備されることになる。もちろん、権利者が既に侵害訴訟を提起していた場合には、被警告人がさらに非侵害確認訴訟を提起しても、裁判所には受理されない。

2.商標権非侵害確認訴訟の審理要点について

2.1原告·被告間の立証責任の分配

侵害訴訟と非侵害確認訴訟の相違点は、原告·被告間の役目が転換する点である。原告による非侵害の請求が積極的な主張となる一方、被告による侵害の主張は抗弁となる。このことが、双方の立証責任分配上の相違につながる。

実務では、原告は、被告から原告へ侵害警告を発したことを証明し、次に、侵害の事実が存在しないことを証明しなければならない。侵害の事実が存在しないことについては、以下の3つの場合がある。

(1)事実が存在しないことの確認を請求

(2)ある行為およびその物と損害事実との間に因果関係が存在しないことの確認を請求

(3)過失が存在しないことの確認を請求。

一般的に、損害事実、因果関係、過失のうちの1つが存在しないことが確認されると、侵害の事実が存在しないことを証明することができ、このような「侵害の事実が存在しないこと」の確認の利益が認められることになる。

一方、被告は以下の2つの点を立証する必要がある。

その1、自らが登録商標専用権を有すること

その2、原告の行為がその登録商標専用権を侵害したこと

2.2他人の登録商標標識に対する正当な使用

正当な使用に属するかどうかはよく商標権非侵害確認訴訟の争点になる。

現在では、商標の正当な使用の法律規定について、商標法実施条例49条に「登録商標に本商品の普通名称、図形、型番又は直接商品の品質、主な原材料、機能、用途、重量、数量及びその他の特徴を表示する場合、又は地名を含む場合には、商標権者は他人の正当な使用を禁止することができない」と明確に規定されている。しかしこの規定は曖昧である。また、この規定に対して他の解釈用規範的な文書はまだない。

裁判の実務においては、使用製品が標識で示される特徴に該当するか、使用者の使用目的が正当であるか、主観的にみて他人の商標との混同を故意に生じさせるか、客観的にみて際立って使用されているか、容易に公衆の誤認を生じさせるかなどの点から、正当な使用に属するかを判断されることが多い。