1. 背景

従来、審査官は主に新規性及び進歩性の審査により、請求項の保護範囲が過度に広くなることを防いでいた。しかし、中国特許法の第3次改正後、特に2011年以降は、請求項が明細書によりサポートされていないとの指摘が増え、保護範囲の広さを問題とする審査意見が多くなった。

このような場合、審査官は一般に、各請求項の特徴と明細書の実施例を比較し、明細書には開示されているが請求項には含まれていない特徴を特定する。そして、その特徴がないためサポートを欠くと判断し、請求項への追加を求める。

2. 分析と対応

特許審査指南第2部第2章3.2.1は、請求項、特に独立請求項が明細書によりサポートされるかどうかは、解決しようとする技術的課題と密接に関係するとしている。問題となる特徴が、他の特徴とともに課題を解決するために必要である場合、当業者は請求項に含まれる他の変形例や均等な代替手段でも課題を解決できるとは合理的に予測できない。その場合、その特徴を欠く請求項はサポートされない。

反対に、その特徴が課題解決に直接関与せず、当業者が明細書から請求された解決手段を導き出して実施できるのであれば、その特徴を追加しなくてもサポートは認められ得る。

中国特許出願200910171949.7では、請求項1は色ずれを補償する光学フィルターに関し、主に背景層上に所定の厚さで設けられた緑色光吸収パターンを使用する。審査官は、明細書に記載されたパターンの配列と形状が請求項に特定されていないため、サポートを欠くと判断した。そして、緑色光吸収ストライプが互いに平行で、所定の間隔で離れているという特徴の追加を求めた。

出願人はまず、請求項1の目的は視野角の増大による色ずれを抑えることであり、パターンの機能は緑色光の吸収であると説明した。形状や配列にかかわらず、所定の視野角で放射された緑色光を吸収できる。したがって当業者は、明細書に記載されたストライプ状、波状、配列状、ハニカム状など、請求項の範囲内の変形によって色ずれを補償できる。

また、所定の間隔で平行に並ぶストライプは1つの実施例にすぎない。その形状と配列は例示されたディスプレイの構造に合わせたもので、色ずれの低減には直接関係しない。ディスプレイの構造が変われば、当業者は吸収パターンの形状と配列を適宜変更できる。

このため、請求項1はパターンの形状と配列を特定しなくても明細書によりサポートされる。審査官は最終的に当初の見解を改め、指摘した問題が解消されたと認めた。

この種の指摘への応答で技術的課題を用いる方法は、引き続き実務上の検証と観察が必要である。ここで述べた方法は、請求項の広さが問題となってサポートが否定された場合を対象とする。

3. まとめ

中国の審査でサポートが重視されることを踏まえ、出願人は請求項の範囲と明細書の開示を対応させる必要がある。請求項と明細書の整合性、化学分野における実施例による裏付け、代替的実施形態の十分に詳しい説明など、他のサポート上の問題にも注意すべきである。