当時の商標法第31条は、他人の既存の権利を害する出願や、他人が既に使用し一定の影響力を持つ商標を不正な手段で先取りして登録することを禁じている。本稿では後者を対象とする。
中国ではこのような商標の冒認出願・登録が増えている。先使用者が速やかに登録せず、又は有効な救済措置を取らないと、ブランドを失い、取り戻しや使用許諾に多額の費用がかかることがある。事情を分析し、迅速かつ柔軟に、複数の手段を組み合わせて対応する必要がある。以下、6つの方法を紹介する。
1. 速やかに自ら出願する
冒認出願・登録を発見したら、中国で当該商標を速やかに出願する。先行出願を理由に拒絶される可能性はあるが、審査又は審判の間に先行の冒認出願・登録が取り消されれば、登録できる可能性がある。また、別の第三者による再度の先取りを防ぐ意味もある。
2. 商標行政機関を通じて取り消す
初歩審査後の公告期間中であれば、3か月以内に商標局へ異議を申し立てる。認められれば、その商標は登録されない。
登録から5年未満であれば、商標所有者又は利害関係人は商標評審委員会へ取消しを請求できる。本稿で述べる場合、著名商標の所有者は5年の制限を受けない。
使用によって一定の影響力を得たこと、及び相手方の悪意・不正な手段を示す証拠が重要である。証拠不足を理由に認められない事例が多い。
3. 民事訴訟を検討する
異議や争議の期限を逃した場合、民法通則の誠実信用原則に基づく民事訴訟を検討できる。
行政救済も民事訴訟も事後的な救済であり、解決に時間がかかる。証拠収集が難しく、影響力、使用、悪意について高い立証水準が求められるため、成功の可能性が限定されることもある。
4. 譲渡又は共存について交渉する
冒認出願者の多くは高額な譲渡代金を目的とする。個人・自営業者や、指定商品・役務と事業内容が大きく異なる出願人では、特にその可能性がある。先使用者は相手方と連絡を取り、譲渡や共有・共存の取決めを交渉して、必要な権利の全部又は一部を取得することを検討できる。
5. 新しい商標へ切り替える
使用状況、証拠及び相手方の事情から、方法2~4が困難又は費用面で負担できない場合、新商標への変更を検討する。異議や審判手続により相手方の登録を遅らせ、変更の準備時間を確保することも考えられる。
6. 不使用取消しを請求する
先取りした商標を実際には使用しない者も多い。使用状況を監視し、3年間継続して使用されていなければ、商標法第44条に基づく取消しを請求できる。


