1. 概要

2013年の香港の特許制度には、標準特許と短期特許がある。知識産権署の特許登録処が登録を扱う。特許条例は新規性・進歩性などの要件を定めるが、登録前には形式審査を行い、これらの実体要件を審査しない。

そのため、侵害や有効性への異議が生じたときに権利を有効に行使できるかが問題となり得る。特に標準特許は、中国本土の発明特許に似た要件を持つ。

標準特許は、指定特許庁で登録された特許を基礎とする。指定特許庁は中国のSIPO、英国を指定する特許についての欧州特許庁、英国特許庁である。例えばSIPOの登録特許を基に香港で登録・付与を請求でき、対応する標準特許は指定特許と同じ保護範囲を持つ。

2. 指定特許が取り消された場合

指定特許が異議又は取消手続で全部又は一部取り消されると、対応する香港標準特許の有効性が問題となる。

香港の特許保護は独立しており、他の法域での取消しだけで香港の権利が自動的に失われるわけではない。ただし、標準特許が特許条例の新規性・進歩性などの要件を満たさない可能性を示すことになる。新たな先行技術によって有効性が争われる場合もある。特許条例は、これらに対応する取消し及び登録後補正の手続を設けている。

2.1 取消手続

主に次の2つのルートがある。

(1)指定特許が所定の異議又は取消手続で取り消された場合、登録官又は裁判所に対応する標準特許の取消しを請求できる。効力の生じた取消決定の証拠など、必要書類を提出する。登録官は取消命令を出すことも、裁判所に移送することもできる。

(2)登録後はいつでも、裁判所に取消しを請求し、関連証拠を提出できる。裁判所が取消しの可否を判断する。

2.2 登録後の補正

主に次の3つの場合がある。

(1)指定特許の明細書が所定の異議又は取消手続後に補正された場合、標準特許の権利者は期限内に対応する補正書類を登録官へ提出しなければならない。期限は、指定特許庁での補正日又は香港標準特許の登録日のいずれか遅い日から6か月である。登録官が適用要件に従って処理する。

(2)登録後はいつでも、権利者は裁判所に明細書の補正を請求できる。認めるかどうかは裁判所が判断する。

(3)侵害訴訟や取消手続など、標準特許の有効性が問題となる裁判手続でも、権利者は補正を請求でき、裁判所の判断に従う。

3. 分析と対応

この制度では香港での登録前の実体審査は行われないが、登録後の手続で裁判所が有効性を判断できる。

権利者は、指定特許の状態、新たな先行技術及び保護の必要性を定期的に確認し、補正の必要性を検討すべきである。特に所定の手続で指定特許が補正された場合は、上記の6か月の期限内に速やかに対応する書類を提出する。

指定特許が異議又は取消手続で補正された場合には、それに対応する変更が可能である。また、新規性・進歩性に影響する文献が見つかった場合や、既存の範囲が保護の必要性に合わない場合にも、補正申請を検討できる。適切な登録後補正により、権利を安定させ、侵害や取消手続で効果的に維持できる。