商標登録同意書は、先行商標の権利者が署名し、他人が同一又は類似の商品・役務について後に出願する同一又は類似の商標の登録及び使用に同意する書面である。米国や英国などの知的財産庁は同意書を認めている。なお、2013年当時、日本ではこのようなコンセント制度は採用されていなかった。
中国商標法には、同意書に関する明文の規定がない。しかし、商標評審委員会は、拒絶査定不服審判において実務的な対応を取り、原則として同意書の効力を認めている。引用商標の権利者が発行した同意書を考慮し、両商標の併存が公衆の混同を招かないと判断して、出願商標の初歩査定を認めた例も多い。ただし、同意書が常に受け入れられるわけではなく、一定の条件を満たす必要がある。個別の事件で利用できるか、紛争を恒久的に解決できるかは、具体的な事実に基づいて検討しなければならない。
1.同意書の主な内容
同意書には、先行権利者及び後願人の名称・住所、両商標の番号、同意の対象となる商品又は役務の範囲を明記する。後願商標の登録だけでなく使用にも同意することを明確にし、先行権利者が署名又は押印する必要がある。
2.公証、認証及び翻訳
先行権利者が外国企業の場合、署名又は押印した同意書について、現地の公証人による公証及び中国大使館又は領事館による認証を受ける。その原本と全書類の中国語訳を提出する。引用商標の権利者が中国企業の場合も、同意書の公証が必要となる。
3.提出時期
商標評審の規則によれば、補充証拠は審判請求から3か月以内に提出しなければならない。ただし、期限後に生じた新たな事実に関する証拠、又は他の正当な理由がある場合は例外となる。
実務上、商標評審委員会は、後願人が先行権利者と交渉し、同意書を準備するための時間を認める。通常、事件の実体審理前に提出すれば、同意書が考慮される。本稿で紹介する実務では、この運用により、準備のためにさらに5~6か月程度の時間を確保できることがある。ただし、これは事件処理の実情を述べたもので、別個の法定延長期間ではない。
4.受け入れられる条件
出願商標と引用商標が同一又は非常に類似する場合、同意書を提出しても登録が認められないことがある。両商標に十分な相違があり、併存しても公衆の混同を招かない場合に、同意書が受け入れられる。
5.同意を得る可能性とリスク
引用商標の権利者が必ず同意するとは限らない。ただし、両当事者の商品・役務、販売地域又は需要者が異なり、競争関係がないか弱い場合、同意を得られる可能性がある。また、異なる国又は異なる商品・役務について双方が先行権利を持つ場合、互いの利益のために同意書を交換することも考えられる。
一方、同意を求めることが先行権利者に後願商標の存在を知らせ、権利行使を招く可能性がある。同意を得るために高額の費用を要することもある。商標の併存が識別力やブランドの影響力を弱めるおそれもあり、慎重に検討すべきである。


