中国において意匠は、特許法によって保護される客体に属し、「製品の形状、図案又はそれらの結合及び色彩と形状、図案の結合に対して行われ、美観を有し、かつ工業的応用性を有する新たな設計を指す」ものである(中国特許法第2条)。中国で意匠権を得た意匠は特許法によって十分に保護される。
しかしながら、実際に新規性の要件を満たすデザインの多くは、中国で意匠出願されていないのが現状である。特にその中でも、まだ中国市場に進出していない海外権利者の意匠を如何に保護するかという問題について、本稿で中国におけるデザイン製品の保護ルートを紹介する。
1.著作権法による保護ルート
意匠と応用美術の著作物とは区分しにくく、類似する意味合いを持つ場合がある。応用美術の著作物はベルヌ条約により保護される著作物の1つである。ベルヌ条約第2条(7)項の規定によると、応用美術の著作物及び意匠に関する法令の適用範囲、並びにそれらの著作物及び意匠の保護の条件は、第7条(4)の規定に従うことを条件として、同盟国の法令の定めるところによるとされる。TRIPS協定第25条(2)項の規定によると、加盟国は、意匠法又は著作権法により繊維製品のデザインを保護することができる。中国の著作権法では、特許法によるデザインの保護以外に、著作権法で応用美術の著作物を保護されるかどうか、または、美術の著作物に応用美術の著作物が含まれるかどうかについて、明確にはされていない。
中国の著作権法は、美術の著作物を保護の客体とするが、応用美術の著作物が美術の著作物に含まれるとするドイツ、日本、イギリスなどの著作権法とは異なる。一方、中国の著作権法実施条例第4条(8)項の解釈によると、「美術の著作物は絵画、書道、彫塑など線、色その他の方法で構成される、審美的意義を有する平面的又は立体的な造型芸術の著作物をいう」とされている。上記「彫塑」の後の「など」は美術の著作物がこの3つのタイプのみに限られないことを表し、「線、色その他の方法で構成される、審美的意義を有する平面的又は立体的な造型芸術の著作物」により、応用美術の著作物も含むと解釈することができる。
1992年に中国国務院が発行した「国際著作権条約実施に関する規定」第6条(1)項における、ベルヌ条約加盟国の外国人の応用美術の著作物に対する保護期間が、著作物創作の完了の日から25年であるとする規定は、中国の著作権法に記載された「美術の著作物」に、応用美術の著作物が含まれることを表す。しかし、応用美術の著作物は工業の目的に応用する美術の著作物を言い、意匠の範囲と全く同じというわけではない。一般的に、著作権法により保護される応用美術の著作物の範囲は、意匠の範囲より広いと考えられている。
以上のように、中国で意匠出願されていないデザインについて、著作権法で保護することができるが、当然、少なくとも下記の条件を満たしなければならない。
(その1)この外国権利者の所在国は、例えば日本のような「ベルヌ条約」の加盟国であること
(その2)該デザインは、権利者の所在国および中国著作権法の応用美術の著作物に関する定義に適合すること
2.その他のルートについて
製品のデザインは、商標法または不正競争防止法などの法律による保護も試みることができる。 (1)商標法による保護意匠権と商標権はともに工業所有権に属する。意匠権の保護対象は、形状、図案を含み、商標権の保護対象は、平面図形および立体図形を含む図形商標であってよい。従って、意匠権と商標権との間は交錯する部分が多くあり、実務的に権利の衝突が発生しやすい。例えば、ある商標が意匠の一部である場合や、意匠のグループに商標に類似する図案などが含まれる場合である。
もちろん、商標法により保護される前提として、この意匠の形状や図形の全部または重要な部分が、中国の登録商標であることが必要である。
(2)不正競争防止法による保護
中国の不正競争防止法5条の規定によれば、著名商品の包装、装飾を無断使用し、他人の著名商品と混同を生じさせてはならないとされる。意匠および著名商品の特有の包装や装飾について、両者は保護対象として共通する点が多くある。特に様々なデザインが製品の包装箱、缶、ボトルに用いられるとき、両者は一体になり、共通の保護対象になる場合が多い。例えば、コカ·コーラのボトルは、意匠出願されたものでもあり、著名商品の包装でもあるので、意匠権と不正競争防止法による重複した保護を受けられる。もちろん、不正競争防止法の保護を受ける前提として、この意匠製品が中国市場に進出しており、かつ中国の法律で認められた「著名商品」の定義に適合しなければならない。
以上のように、ある製品のデザインが中国で意匠出願されていない場合に、著作権法、商標法、不正競争防止法による保護を受けることを考慮できる。


