以下は2014年初めの制度を比較したものです。中国は世界で最も多くの意匠出願を受理し、産業発展のニーズに合わせて特許法の中で意匠を保護しています。本稿では中国の制度を紹介し、欧州連合(EU)および米国の制度と比較します。
1.保護対象
中国特許法第2条は、意匠を、製品の形状、図案またはそれらの結合、および色彩と形状・図案の結合についての、美感を有し工業的利用に適した新しい設計と定義しています。したがって、保護対象は技術的解決策ではなく、製品の美的な外観です。また、その製品は工業的に製造できるものでなければなりません。
三つの地域はいずれも、意匠によって製品の装飾的外観を保護し、技術的機能そのものは保護しません。EUには共同体意匠に関する2001年12月12日付理事会規則(EC)第6/2002号という独立した法制があります。これに対し、中国は発明、実用新案、意匠を一つの特許法で保護します。
EUと米国は、製品の一部分の外観やグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を保護しますが、この時点の中国には対応する保護制度がありません。カップやヘアドライヤーの取っ手、タイヤのトレッドなど、製品から分離できない部分を単独で保護することはできません。製品への通電後に表示される図案も保護対象から除外されるため、GUIを含む製品意匠は保護されません。
中国で検討されている審査基準改正案は、除外対象を、人とコンピューターの相互作用や製品機能の実現に関係しない表示装置上の図案に限定する方向です。これにより、一部の表示図案が意匠として保護される可能性があります。
2.審査
特許法第40条により、SIPOは初歩審査で拒絶理由がなければ意匠権を付与します。初歩審査の対象は、出願書類の形式的要件、明らかな実体的欠陥、その他の書類・手続の形式的要件です。
EUもおおむね類似した方式を採ります。欧州共同体商標意匠庁(OHIM)は登録の形式的要件を確認し、通常は実体審査を行いません。一方、米国では、審査官が通常、関連する意匠分類の先行意匠を調査し、新規性と非自明性を判断します。
EUで登録共同体意匠(RCD)を出願する際、出願人は出願日または優先日から最長30か月の公表延期を請求できます。これは意匠の秘密保持に役立ちます。中国と米国には、これに相当する公表延期制度がありません。
3.出願書類
中国特許法第27条は、願書、図面または写真、および意匠の簡単な説明の提出を求めます。この簡単な説明が必須である点は、中国制度の特徴です。権利範囲を判断する際には、図面や写真に示された意匠の解釈に用いることができます。
実施細則第28条によれば、説明には製品の名称・用途、意匠の要点、およびその要点を最もよく表す図面または写真を記載しなければなりません。図を省略した場合や色彩の保護を求める場合も、その旨を明記します。出願人は、状況に応じて、保護対象の解釈に関わる情報を記載できます。
EUや米国の意匠出願では、通常、このような簡単な説明は不要です。EUでは図面や見本を説明する記述を添付できますが、その記述は意匠の保護範囲に影響しません。
そのため、EUや米国の意匠出願を基礎として中国で優先権を主張する場合、簡単な説明を追加する必要が生じます。実施細則第31条は、先の出願に説明がない場合でも、第28条に適合する説明を追加してよいと定めています。ただし、先の出願の図面・写真に示された範囲を超えてはならず、この範囲内の追加であれば優先権に影響しません。
4.その他の事項
新規性喪失の例外
中国は、特許法第24条に規定する三つの公開について6か月の猶予期間を認めます。すなわち、中国政府が主催または承認する国際展覧会での初公開、所定の学術・技術会議での初発表、および出願人の同意を得ない他人による公開です。これらの公開から6か月以内に出願すれば、その公開によって新規性・進歩性を失いません。EUと米国では期間は12か月であり、対象となる公開もより広く認められます。
優先権
特許法第29条によれば、中国の意匠出願では外国優先権を主張できますが、国内優先権は主張できません。例えば、Aを外国で行われたハーグ協定に基づく国際意匠出願、Bを中国国内の意匠出願とすると、その後の中国出願CはAを基礎とする優先権を主張できますが、Bを基礎とすることはできません。また、先の出願も意匠出願でなければならず、外国の実用新案出願は優先権の基礎になりません。
EUでは、パリ条約またはWTO協定の締約国における、または当該国を指定する意匠・実用新案出願を基礎として、RCD出願の優先権を主張できます。米国では、意匠出願について米国仮出願に基づく優先権を主張することはできません。
一出願に含められる意匠
中国特許法第31条は、同一製品の二つ以上の類似意匠、または同一分類に属し一組として販売・使用される製品の意匠を、一つの出願に含めることを認めます。実施細則第35条によれば、同一製品の類似意匠は10件以下でなければなりません。一組の製品は、国際意匠分類の同じ類に属する必要があります。
米国で複数の意匠を一つの出願に含めるには、自明性型二重特許の判断に用いられる考え方に従い、単一の発明概念を形成しなければなりません。全体的外観が実質的に同じ意匠上の特徴を持ち、相違点が特許的に区別するほどのものでないことが必要です。
EUでは、一つのRCD出願に複数の意匠を含める場合、各意匠に係る製品がロカルノ分類の同じ類に属しなければなりません。ただし、すべての意匠が装飾に関する場合、この同一分類の要件は適用されません。
保護期間
中国の意匠権の存続期間は出願から10年です。本稿で扱う米国の意匠特許の存続期間は登録から14年です。
EUには二つの保護方式があります。非登録共同体意匠は、共同体内で最初に公衆に開示された日から3年間保護されます。RCDは出願から当初5年間保護され、その後5年ごとに更新することにより、最長25年間保護されます。


