1.はじめに
通常、物の発明は、構造の特徴またはパラメータを用いて技術的内容を限定することがよくある。方法の発明は、ステップの特徴を限定の主な表現形式とする。これらの形式で技術的内容を正確に限定できない場合、または出願人の保護範囲の要求を表現できない場合、いわゆる機能的限定という表現形式を用いてクレームを記載することができる。簡単に言えば、機能的限定は、技術的特徴の作用、効果により技術的内容を限定するものである。
以下、中国の特許審査過程において、機能的に限定された技術的特徴についてどのような規定があるのか、このような技術的特徴は審査過程においてどのような問題を発生させるか、出願書類を作成する際の留意点は何か、と言った問題について簡単に説明する。
2.関連規定について
中国特許審査基準第二部分第二章3.2.1に、機能により限定された技術的特徴について詳細に規定されている。具体的な内容は以下の通りである。
①通常、物のクレームでは、機能的あるいは効果的特徴を用いて発明を限定することはなるべく回避すべきである。ある技術的特徴が構造的特徴によっても限定できない、または技術的特徴が構造的特徴によって限定されるよりも、機能的あるいは効果的特徴を用いて限定されるほうがより適切であり、かつ該機能あるいは効果が明細書に定められた実験、操作、あるいは当該技術分野の常用手段により直接的かつ肯定的に検証できる場合に限り、機能的あるいは効果的特徴を用いて発明を限定することが許され得る。
②クレーム中の機能的に限定された技術的特徴は、記載された機能を実現できるすべての実施形態をカバーしていると理解すべきである。
③明細書には曖昧な方式だけでその他の代替的形態も適用でき得ると記載しており、当業者にとって、これら代替的形態が何なのか、又はどのようにこれら代替的形態を応用すればよいかが不明瞭である場合は、クレーム中の機能的限定は許されない。
④単なる機能的クレームは明細書にサポートされないため、これも許されない。
また、上記の規定によれば、機能的限定の使用は下記の要件を満たす必要がある。
①方法のクレームでは、機能的限定の使用には特別な条件はない。一方、物のクレームでは、構造的特徴によっても限定できない、または構造的特徴によって限定するよりも、機能的あるいは効果的特徴を用いて限定するほうがより適切であり、かつ該機能あるいは効果は直接的かつ肯定的に検証できる場合に限り、機能的限定を用いることが許され得る。
②機能的限定を使用すると、該機能的限定を含む技術的特徴は該機能を実現できるすべての実施形態をカバーしていることを表し、明細書の内容は該技術的特徴を十分にサポートしていなければならない。
③明細書に詳細に記載された実施例以外の代替方式について、出願書類に明確に説明しなければならない。
④機能的限定は単独で使用することはできず、必ず構造的特徴またはステップの特徴とともに1つの発明に存在しなければならない。
3.よくある拒絶理由
通常、機能的クレームに対する拒絶理由には、主に以下の2種類がある。
①審査官は、機能的に限定された技術的特徴について、当業者が該機能の既知の方式を明らかにすることができるかどうかを判断し、該機能的に限定された技術的特徴がカバーされている、明細書に記載された実施形態以外の他の実施形態が、発明の技術的課題を解決して関連する技術的効果を奏するものであるかどうかを判断する。そうでない場合、該機能的クレームはサポート要件に違反すると認められる。
②クレームに記載された機能的限定が、発明を達成しようとする目的あるいは効果のみの内容にとどまり、このような目的を達成し、または効果を得るためのいかなる技術的手段も記載されていない場合、該機能的クレームは、審査官によってサポート要件に違反すると認められる。 4.出願書類を作成する際の留意点について
上記の拒絶理由を避けるために、出願人は出願書類の作成段階で以下2点について注意すべきである。
①機能的に限定される技術的特徴について、明細書に該機能的限定の各具体的な実施形態をなるべく多く記載し、各具体的な実施形態について、その機能を実現する原理及び過程を詳細に説明する。均等物である複数の実施例については、1~2の代表的な例を選択して明細書に詳細に説明し、他のものは前者との相違点を説明すればよい。
②機能的に限定された技術的特徴に係る各具体的な実施形態について、出願人は、各実施形態に対して少なくとも1つの従属クレームを作成するよう検討してよい。
これにより、該機能的に限定された技術的特徴が実体審査段階または無効審判段階において否定された場合でも、出願人は適切な従属クレームを選択して補正の基礎とすることができる。
また、特許権侵害訴訟段階において、特許権者は具体的な実施形態を含む従属クレームを利用して、侵害被疑製品の部材と直接対比することにより、侵害被疑製品が特許の権利範囲に含まれるかどうかを判断できる。


