1.関連規定著名商標について、中国商標法13条は、「非同一または非類似の商品について登録出願した商標が、中国で登録されている他人の著名商標を複製、模倣または翻訳したものであって、公衆を誤認させ、当該著名商標権者の利益に損害を与え得るときは、その登録をせず、かつその使用を禁止する」と規定しています。
上記の条文および関連解釈により、中国で登録済みの商標が著名商標となった場合には、その保護は非同一または非類似の商品に拡大することができ、それは、中国で「区分を跨ぐ保護」と呼ばれています。
しかし、著名商標の保護は境界なしに全区分に及ぶのではなく、その著名性の程度に応じたものとなります。 2.2つの事例〈事例1〉Cartier商標権侵害事件〈Cartier International社(原告) VS雲南卡地亚ウェディング撮影公司(被告)〉原告は14類の宝石、アクセサリー、時計等において、「卡地亚」(Cartierの中国語音訳)および「Cartier」の商標権をとし、41類のウェディング撮影サービスにおいて商標「卡地亚那」(Cartirenaの中国語音訳)および「Cartirena」を使用しました。この侵害事件における、裁判所の見解は次のとおりです。
原告の商標は宝飾品において著名商標です。原告の商品と被告のサービスは異なる業界と区分に属しているが、両者は共に生活分野であり、ファッションカルチャー分野という一定の関連性があります。また、双方の消費者も関連性があることから、被告が原告の商標権を侵害していると判断します。
〈事例2〉YKK商標異議事件〈日本のYKK株式会社(以下、YKK社)VS力博機車部件有限公司(以下、力博社)〉 YKK社はファスナーにおいて「YKK」の商標権を持っており、力博社は車内装飾品、エアポンプ(車両部品)、車両のショックアブソーバー、自動車において「YKK」を商標出願しました。異議申立人のYKK社は異議決定に対する審決を不服として裁判所に提訴しました。裁判所の最終判断は次のとおりです。
YKK社はその証拠によりファスナーを車内装飾品に使用できることを証明しており、ファスナーと車内装飾品は川中(部品)・川下(製品)の関係を有しています。また、「YKK」は造語であり、その識別性が強いです。よって、YKK社の商標「YKK」がファスナー商品において著名であるという事実に基づき、車内装飾品においても保護を受けるべきです。
原告は第14類の宝石、アクセサリー、時計等について「卡地亚」(Cartierの中国語音訳)および「Cartier」の商標権を有していました。被告は「卡地亚」を商号に用い、第41類のウェディング撮影サービスに「卡地亚那」および「Cartirena」を使用しました。この侵害事件について、裁判所は次のように判断しました。
著名商標の保護は全区分に及ぶ過大保護ではありません。適切な保護を原則として、著名商標の保護範囲を合理的に確定します。


