事件番号:(2017)京行終167号控訴人(原審原告):甲被控訴人(原審被告):国家知識産権局(SIPO) 【キーワード】実用新案、特許権評価報告、具体的行政行為【関連条文】特許法61条、行政復議法(日本の行政不服審査法に相当)2条、行政訴訟法69条

【事件の概要】控訴人はSIPOが作成した実用新案(ZL2013200877902)の特許権評価報告に対して、訂正請求をした。SIPOはこの実用新案に係る特許権評価報告書に欠陥があると認定したので、その一部の内容を訂正したうえ、訂正後の特許権評価報告を再作成した。

その後、控訴人がこの訂正後の特許権評価報告に対する再訂正を請求したが、SIPOの再審査グループはこの再訂正請求を認めず、審査業務専用書簡を発行した。審査業務専用書簡には、次の理由が記載されている。

「特許審査基準(2010)第五部分第十章の規定により、特許権評価報告に対しては、一般的に訂正請求することが1回しか許されないが、再審査グループが補充検索を行った後に改めて作成した特許権評価報告については、請求人は再訂正請求を申し立てることができる。

本件については、再審査グループは特許権評価報告の部分内容を訂正したが、訂正時に引用文献が変わることはなく、元の特許権評価報告に記載された引用文献を採用し、補足検索を行っていないので、特許審査基準の上記再訂正請求の要件を満たさない。また、再審査グループが再認定した事実が技術常識に属しており、訂正後の一部の請求項が進歩性を有しないとの結論は変わっていない。したがって、SIPOは再訂正請求を認めない。」控訴人はSIPOが作成した審査業務専用書簡の内容を不服として、行政不服審査をSIPOに請求した。SIPOは行政不服審査請求を受理しない旨の通知書を発行した。受理しない理由は、行政不服審査受理の前提の1つとして具体的行政行為※の存在が必要とされるところ、「審査業務専用書簡」は行政復議法2条に規定された具体的行政行為に属しないからである。

控訴人は不服のため、一審と二審でそれぞれ北京知的財産裁判所と北京高等裁判所に行政訴訟を提起した。

※「具体的行政行為」とは、行政主体が国家行政管理活動において職権を行使するにあたり、特定の行政客体に対し、特定の事項について、当該行政客体の権利・義務に関係する一方的な行為をすることを指す。【争点】 SIPOの特許権評価報告作成行為は行政機関の具体的行政行為に属するかどうか、SIPOが作成した行政不服審査請求を受理しない旨の通知書は法的根拠があるかどうか。【裁判所の判断】特許権評価報告は実用新案権者と意匠権者が権利行使する際に提出した証拠である。しかし、特許権評価報告は特許権有効性を判断するための直接証拠ではなく、特許権自体の効力に影響を与えることはない。よって、権利者または利害関係者の権利・義務に直接影響することはない。したがって、特許権評価報告は行政決定の範疇に属せず、SIPOの特許権評価報告作成行為は行政機関の具体的行政行為に属しない。SIPOが作成した、行政不服審査請求を受理しない旨の通知書は法的根拠がある。【最終判決】 1)控訴人の訴訟を却下する。 2)訴訟費用は控訴人が負担する。

【コメント】本件を通して、特許権評価報告の地位を正しく理解する必要がある。すなわち、証拠であるが行政決定ではない。よって、権利者または利害関係者は特許権評価報告に対して、行政不服審査を請求することができない。

また、特許権評価報告に訂正を請求した際に、提出した意見書においてできる限り意見を十分に申し立てるべきである。特許権評価報告に対して、一般的に訂正請求することは1回しか許されないからである(再審査グループが補充検索を行った場合を除く)。