中国の商標調査をする際に、類否判断に困っています。同一の類似群における商品・役務は必ず類似するのでしょうか。類似商品・役務が存在するとの理由で拒絶された場合、拒絶査定不服審判時に、先登録商標と当社の商標は実際の指定商品が異なるために出所混同を生じないと意見することで戦う余地はあるのでしょうか。
まず、中国における商標の類似群を簡単に紹介します。
類似群とは、中国の「類似商品及び役務区分表」(以下、区分表)に記載された商品・役務の類似群を指します。区分表は、ニース分類をもとに、中国商標局が特定の関連性を持ち、誤認されやすい商品や役務を組み合わせて編集したものです。
区分表によると、同じ類似群中の商品・役務は原則的に類似商品・役務です。もし類似群中の商品・役務に類似と判断されないものがある場合、類似群の下位に「部分」を設けています。
つまり、同一部分の商品・役務項目は原則的に類似と判定され、異なる部分間の商品・役務は同一類似群であっても類似と判定されません。
しかし、下表の「部分」欄に示すように、同じ類似群の同一部分であっても商品が類似ではない(「注」欄2.を参考)、あるいは異なる類似群、ひいては異なる区分の商品も類似する(「注」欄3.を参考)などの例外があります。
このような例外事項は、区分表における「注」欄に記載されています。
【区分表における類似群0902 (記録、記数検出器)の記載内容】
第9類・類似群0902の例:第(一)部分は歩数計(090137)、エッグタイマー・砂時計(090683)等、第(二)部分は郵便切手の貼付確認装置(090149)等、第(三)部分は偽造硬貨検出機(090173)等、第(四)部分は硬貨作動式装置の機構(090063)等、第(五)部分は口述録音機(090188)、ヘムマーカー(090313)等を含みます。
注記:各部分間の商品は非類似です。第(五)部分の商品も相互に非類似です。エッグタイマー・砂時計は、第7版及びそれ以前の類似群2106の砂時計とクロス検索する必要があります。
したがって、一つ目のご質問に対する当方の回答は同一の類似群における商品・役務が必ず全部類似になるわけではありません。類比判断は、区分表の記載をもとに行う必要があります。
区分表において類似商品・役務に属しているなら、商標局は後願商標の出願を拒絶します。拒絶査定不服審判では、商標評審委員会も区分表を参考にしたうえで審理し、一般的に区分表の記載に基づかずに類否判断をすることはありません。
したがって、拒絶査定不服審判において先登録商標と貴社の商標は指定商品が実際に異なるために出所混同を生じないとの意見のみで反論した場合、成功の可能性は低いと思われます。
しかし、個別案件については、商標評審委員会が区分表に基づかずに商品・役務の類否判断をする場合もあります。
例えば、①商標は独創性が高い、②商標は使用を経て高い知名度を得ている、③商品・役務は機能、生産部門、販売ルート、消費者に確かに区別が存在するが、社会や経済の発展によりこれらの商品・役務が類似と判定されるのが適切ではなくなるなどの要件を満たすときです。
このような区分表に基づかない類比判断は個別案件のみに限られており、かつ、その審理は極めて慎重です。出願人は、その商標が上記の要件を満たせば、先登録商標と自社の商標は指定商品が実際に異なるために出所混同を生じないとの意見による反論を検討していいでしょう。


