●事件番号:(2018)京行終2631号 ●控訴人(原審原告): CHRISTIAN LOUBOUTIN(フランス出身)●被控訴人(原審被告): 中国商標評審委員会(以下、TRABという) ●二審裁判所:北京市高等裁判所 ●裁判日:2018年12月24日

本件商標の図柄(G1031242)【事件経緯】 2018年12月24日、北京市高等裁判所は「赤い靴底」商標の審決取消訴訟の二審の判決を下した。本件商標(国際登録番号G1031242)は、フランス出身のハイヒールデザイナークリスチャン・ルブタン氏(CHRISTIAN LOUBOUTIN)の制作による、1992年設立の女性向けの靴のブランドで、外国ではファッションブランドとしてよく知られている。

2010年4月15日にクリスチャン・ルブタン(以下「請求人」という)は国際登録第1031242号の商標の中国を指定する領域指定出願を提出した。指定商品は第25類の「女性用ハイヒール」であった。

商標局は顕著な特徴に欠けると指摘し、当該商標を拒絶した。クリスチャン・ルブタン氏はこれに対し、不服審判を請求した。不服審決において、商標評審委員会(日本の審判部に相当)は、“本件商標は常用のハイヒール図案と靴底の単一色彩からなり、指定商品「女性用ハイヒール」で使用すると、関連公衆はそれを商品の出所を識別するための標識として認識し難く、商標として有すべき顕著な特徴を有していない。請求人より提出された証拠が、本件商標は真実かつ有効の商業的な使用により顕著な特徴を有していたことを証明できない”と判断し、商標法11条1項3号に基づいて本件商標の中国を指定する領域指定出願を拒絶した。

次いで、訴訟の段階に入った。一審で北京知的財産裁判所は、商標評審委員会の審決を取り消した。一審の判決において、本件商標は図形商標に属するとの事実認定には誤りがあると指摘された。「商標サンプルの破線部分がハイヒール商品自体の形状を表示し、局部に赤色が塗られている」という本件商標は立体商標に属するべきであるとの認識が示された。

請求人と商標評審委員会はいずれも一審の判決を不服として、北京市高等裁判所へ控訴した。

北京市高等裁判所は本事件に対し、二審の判決を言い渡し、一審の立体商標の商標類型の認定を是正した上で控訴を拒絶し、一審の判決を維持した。【争点】本件の最大の争点は、本件商標の類型の認定である。原告、商標審査委員会、一審裁判所、二審裁判所の判断を以下のとおりまとめた。

各主体による商標類型の認定:ルブタン氏は、赤い靴底が標章を構成し、ハイヒールの外形は標章の一部ではなく位置を示すものにすぎないと主張しました。商標評審委員会は図形商標、第一審裁判所は立体商標と認定し、第二審裁判所は特定の位置に用いる単色の商標と認定しました。

【第二審(終審) 裁判所の判断】本件商標は、「靴底に用いられる赤色(PANTONE:18.1663TP)より構成される」(ハイヒールの形状は商標の一部でなく、商標の位置を表示するだけ)。即ち、本件商標は位置が特定された赤色より構成され、位置が特定された単色商標である。

本件商標の標章は商標法8条に挙げられる標章に属しないが、商標として登録出願できないものとして排除される標章でもなく、商標評審委員会も本件商標は商標として登録出願することができる標章に属しないとは認定していなかった。よって、商標評審委員会は新たに審理するにあたり、クリスチャン・ルブタンが不服審判及び一審、二審で提出した関連証拠に基づいて本件商標は顕著な特徴を有するかどうかについて改めて認定しなければならない。

【関連条文】 (商標法8条) 自然人、法人又はその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる。

【コメント】本事件について、控訴人CHRISTIAN LOUBOUTIN氏は本件商標が使用により顕著な特徴を有し、商品の出所を区別する役割を果たすものとなったことを証明するための使用証拠を提出できれば、中国では登録の見込みがある。

本事件以前には、中国では位置商標と単色商標の登録可能性を認めた裁判所がなかった。本事件の終審裁判所(北京市高等裁判所)が、位置が特定された単色商標の登録可能性を初めて認定したことは重要な意味を持っている。

図 1:特定の位置に用いる単色の登録可能性:「赤い靴底」商標事件
図 1:特定の位置に用いる単色の登録可能性:「赤い靴底」商標事件