1.公知常識の証拠の形式中国特許審査基準によると、公知常識(common knowledge)は教科書、技術用語辞書または技術マニュアル等の参考文献に記載された内容を含むとされていますが、それ以外では、通常、以下2種類の文献が公知常識の証拠として認められると思われます。
1つ目は同一の技術的特徴を開示している複数の特許文献です。すなわち、複数の特許文献のいずれにも上記同一の技術的特徴が開示されています。この複数の特許文献は1つの公知常識の証拠(すなわち、上記技術的特徴が公知常識であるという証拠)とすることができます。
北京市高等裁判所によって発行された北京市高等裁判所知的財産審判新発展(2016年度)における「特許の権利付与・権利確定に係る行政案件」の13点目に、当業者に通常知られ、受け入れられた複数の特許文献は、1つの技術的特徴が公知常識であることを証明する証拠とすることができると記載されています。
2つ目は国家標準です。
国家標準は、通常、関連する国際標準の規定を参考にして、多段階で、複数の機関の調査・研究、審査、調整などを経てその公布・出版が主管部門に許可されるものです。関連する技術的課題を処理する際、中国全国で国家標準を採用し順守しなければなりません。よって、国家標準は単独で公知常識の証拠とすることができます。 2.3GPPは公知常識に当たるか 3GPP(Third Generation Partnership Project)標準仕様書は国家標準ではなく、単独で公知常識の証拠にすることはできないと思われます。
北京知的財産裁判所の判決〈(2015)京知行初字第3495号〉において、次の判示があります。
3GPP標準仕様書に記載された技術案が公知常識であるかどうかについては、個別の案件の具体的な状況によって、この技術は通信分野の技術者に幅広く受け入れられて「公知化」の程度に達したかどうかを判断する必要がある。
従って、3GPP標準仕様書のみによって、同仕様書に記載された技術案が本技術分野の公知常識であると証明することはできません。3GPP標準仕様書は他の証明資料と組み合わせて使用してその公知性を証明する必要があります。この点にご留意ください。 3.まとめ要するに、公知常識の証拠になるものは以下の(1)および(2)を含みます。
(1)単独で使用できる公知常識の証拠:教科書、技術用語辞書、技術マニュアル、複数の特許文献(1つの全体として)および国家標準。
(2)組み合わせて使用できる公知常識の証拠:3GPP標準仕様書(他の証明資料と組み合わせて使用する必要がある)。


