2019年4月23日に中国商標法の第4次改正が可決され、改正法は2019年11月1日より施行されました。また、商標法の施行を円滑に進めるために「中国商標登録出願の規範に関する若干規定」が起草され、2019年12月1日に施行されました。

第4次法改正のポイントは主に3つあります。 1.悪意の商標登録行為の取り締まり中国では現状、譲渡益の獲得を目的とする悪意の(先取り)商標出願や実際に使用する意図のない多くの商標出願が存在しています。従来、このような悪意の商標出願などに対する法的な対応が不十分であったため、今回、主に次の3点で改正がなされました。

(1)使用を目的としない悪意の出願への対処改正後4条1項に「使用を目的としない悪意の商標登録出願を拒絶する」という規定を追加して、審査官に初歩審査の段階で職権により登録出願を拒絶する権利を与えました。さらに改正後33条と44条において、改正後4条の「使用を目的としない悪意の商標登録出願」を異議理由および無効理由として明文化しました。

また、商標登録部門は、商標登録出願が改正後4条の規定「使用を目的としない悪意の商標登録出願を拒絶する」への違反に該当するか否かを判断するとき、次の要素を総合的に考慮することができます。

①出願人又は同人と関連性がある自然人、法人、その他の組織による商標登録出願の件数、商標の区分、商標の取引等 ②出願人の所在する産業、経営状況等 ③既に効力を生じた行政決定又は行政裁決、司法判決によって出願人が商標の悪意による登録行為、他人の登録商標専用権を侵害する行為に従事したことがあると認定されたこと ④登録を出願された商標が他人の一定の知名度を有する商標と同一又は類似であること ⑤登録を出願された商標が有名人の氏名、企業の商号、企業名称の略称又はその他の商業標識等と同一又は類似であること ⑥商標登録部門が考慮すべきと認めるその他の要素 (2)商標代理行為の規範化改正後19条3項に、代理人が、委託された出願が使用を目的としない悪意の出願であることを知っていたか知るべきであった場合には、その委託を引き受けてはならない旨が規定されました。

(3)出願人、代理人の悪意の出願、悪意の訴訟行為に対し処罰措置が規定されました。

具体的には、悪意の商標登録出願に対し、状況により警告、罰金などの行政処罰を科し、悪意の商標訴訟の提起に対し、裁判所が処罰を科すものとしました(改正後68条)。

上記(1)~(3)の改正により、悪意の出願行為の規制が、商標出願から権利行使に至る全体を通じて行われ、また出願人と権利者、ならびに代理人も責任を問われることになります。悪意の先取り出願、使用する意図のない多くの商標出願の問題改善が期待されます。 2.商標権侵害賠償額の引き上げ権利侵害のコストを上昇させるとともに、悪意のある権利侵害者を懲罰するため、商標権侵害の懲罰的損害賠償の倍率が「1倍~3倍」から「1倍~5倍」に、賠償額が確定しにくい場合に裁判官が認定する法定賠償額が上限300万元から500万元(8000万円)に、それぞれ大幅に引き上げられました(改正後63条)。 3.商標盗用行為の取り締まり強化商標紛争事件の審理において、裁判所は商標権者の請求により、登録商標を盗用した偽造商品の廃棄および偽造商品を製造するための主要な材料、工具の廃棄処分を命じることができます。登録商標盗用商品から盗用商標を除去しただけで市場に流通させることは禁止されます(改正後63条4項、5項)。この改正により、主として廃棄および市場流通禁止を原因として、登録商標盗用者が負担させられるコストが大幅に上昇しました。