1.改正前の香港特許制度

2019年12月19日に香港の新特許制度が開始されています。旧制度では標準特許および短期特許の2種類に分けられています。

標準特許は、指定特許庁〈中国特許庁、英国特許庁、欧州特許庁(英国指定)〉のいずれかへの出願 (指定特許庁に移行されたPCT出願も含む)に基づいて付与される特許です。香港で標準特許として特許権を取得するためには、指定特許庁での出願公開時および特許登録時からそれぞれ所定の期間内に、香港特許庁への手続きが必要となります。

短期特許については、香港特許庁に直接出願し、方式審査のみが行われます。1つの出願において、独立請求項は1つしか記載できませんでした(現在は2つまで可)。 2. 原初登録特許制度について新特許制度は、上記標準特許および短期特許以外に、香港特許庁に直接出願が可能となる原初登録特許制度(OGP, Original Grant Patent)を追加し、これにより3つの出願ルートのいずれかで2種類の特許出願が可能となりました。

原初登録特許出願については、方式審査のみではなく、実体審査も行われます。

原初登録特許出願の流れは下記のとおりです。

・原初登録特許出願は方式審査において方式上の規定を満たすと認定された場合、出願日(優先権を伴う場合は優先日)から18カ月後に公開されます。

・出願人の請求がなければ実体審査は行われません。審査の請求期限は出願日(優先権を伴う場合は優先日)から3年以内です。

・香港特許庁は実体審査において、審査規定を満たさないと認定した場合、審査通知を発行します。出願人は各審査通知の日から4カ月以内に書面で応答する必要があります。

・審査通知に対する応答後も依然として審査規定の要件を満たさないと認定された場合には、仮拒絶通知が発行されます。

・出願人は仮拒絶通知の受領から、2カ月以内に再審査請求をすることができます。出願人は香港特許庁から発行された再審査見解書に対し書面、聴聞を通じて応答します。

・香港特許庁は、審査通知および再審査見解書に対する応答について審査した結果、依然として要件を満たさないと判断した場合、出願人に最終拒絶理由通知を発行します。

・香港特許庁は、実体審査で審査規定の要件を全て満たしていると判断した場合、特許査定が公表される時期を出願人に通知します。

上記のように、香港の原初登録特許出願は多くの国の特許出願と同様の流れで処理されます。つまり、特許庁は実体審査を経て、審査通知を発行し、出願人の応答によって拒絶理由が解消しない場合、仮拒絶通知を発行。そして、出願人が再審査請求を行うと、特許庁は再審査段階で再審査見解書を発行します。上記再審査の手続きは米国の継続審査請求手続きと類似します。

原初登録特許制度を設けたことにより、出願人は特許権の取得に必要なコストおよび時間を節約することができます。また、最適な特許出願戦略をとるための選択肢が1つ増えたといえるでしょう。