1.特許実施許諾契約の届け出とは
特許実施許諾契約の届け出とは、中国特許庁(CNIP A)に対し当事者が締結した特許実施許諾契約を申告することであり、CNIPA はその内容を特許公告で公示し、特許原簿に記載します。CNIPA 公式サイト「中国特許公布公告」(http://epub.cnipa.gov.cn/flzt.jsp) にて、特許実施許諾契約の届け出に係る情報を無料で調査することが可能です(中国語のみ対応)。
届け出がなされた特許実施許諾契約については、特許公告において、許諾者、被許諾者、特許分類(主分類)、特許番号、出願日、授権公告日、実施許諾の種類および期限、届け出日が公示されます。
2.特許実施許諾契約の届け出の役割
特許実施許諾契約の届け出は必須ではなく、中国で届け出を行わない場合でも、許諾契約の有効性に影響はありません。
一方、届け出の主要な役割は以下のとおりです。
・届け出手続きを経ていない許諾契約は、善意の第三者に対抗できません。
・被許諾者は外国の許諾者へ使用料を送金する際に、特許実施許諾契約の届け出証明を提供する必要があります。
・特許実施許諾契約の届け出証明は知的財産税関保護の届け出手続きを行う際の提出書類の一つです。
上記以外に、裁判所へ提訴する前の行為保全(仮差止め)を申し立てるための証拠、および権利侵害事件の賠償額を認定するための証拠になり得ます。
3.届け出手続きの内容
(1) 届け出可能な時期
中国特許法実施細則 14 条では、特許権者が他人と特許実施許諾契約を締結した場合、契約の効力発生日から3カ月以内に CNIPA へ届け出なければならないとされています。
上記3カ月の期限が過ぎた後に届け出を行いたい場合、特許実施許諾契約を改めて締結する、または当事者の双方によって署名された原特許実施許諾契約有効性声明を提出する必要があります。 (2) 届け出手続きの必要書類 ① 許諾者または許諾者に委任された特許代理機関が署名または押印した特許実施許諾契約の届け出申請書 ② 特許実施許諾契約の原本 ③ 当事者双方の身分証明書日本企業の場合、日本法務局で発行された履歴事項全部証明書または現在事項全部証明書を身分証明書として提出します。
なお、法務局で発行された上記証明書は日本の公証役場で公証を行う必要があります。
④ 特許代理機関に委任した場合は、委任状および受任者の身分証明書の写し ⑤ その他の資料被許諾者が外国人、外国企業または外国のその他の組織である場合、許諾契約以外に、商務主管部門が発行する技術輸出許可書(輸出に制限のある技術を対象とする)もしくは自由輸出技術契約登録証明書(輸出が禁止または制限されていない技術を対象とする)を提出する必要があります。
上記書類が外国語である場合、中国語訳を添付しなければ未提出とされるため、留意してください。
4.届け出を拒絶した状況
下記の状況のいずれかがある場合には、届け出を拒絶し、当事者に対して特許実施許諾契約の届け出拒絶通知書を発送します。
(1)特許権が既に終了されているかまたは無効宣告された場合
(2)許諾者は合法的な特許権者/出願人または許諾を与える権利があるほかの権利者でない場合
(3)特許実施許諾契約が特許実施許諾契約届け出弁法第九条の規定に合致していない場合
(4)実施許諾期間が特許権の存続期間を超えている場合 (5)特許権の共有者が、法律規定または約束を違反して特許実施許諾契約を締結した場合
(6)特許権が年金滞納期間中にある場合
(7)特許権の帰属について紛争が生じているか、または裁判所によって特許権に対する保全措置が裁定されることで、特許権の関連手続が停止されている場合
(9)同一の特許実施許諾契約が繰り返して届け出申請された場合
(10)質入された特許権である場合、但し、質権者が承諾した場合を除く
(11)既に届け出されている特許実施許諾契約に衝突している場合
5.注意点
(1)権利付与されていない特許出願は同様に特許実施許諾契約届け出を行うことができるのが、CNIPA はその届け出内容を公告しません。届け出対象の特許出願が公開された後に、CNIPA はそれを公告します。特許出願が拒絶、取下げ、または見なし取下げされた場合、当事者は適時に届け出の抹消手続きを行う必要があります。
(2)特許実施許諾契約には、中国特許以外に他の国や地域の特許も含まれている場合、CNIPA はその中の中国特許(出願)のみに対し届け出証明を発行します。
(3)中国には通常の居所または営業所を有しない外国人、外国企業または外国のその他の組織が届け出手続を行なう場合には、特許代理機関に委任しなければなりません。



