優先権書類のデジタルアクセスサービス(以下、DAS) とは、各国特許庁との協力に基づきWIPOの国際事務局により構築・管理されている、電子的交換により優先権書類を取得できる電子サービスです。中国特許庁 (CNIPA) はWIPOの「優先権書類DASワーキンググループ」のメンバーとして、DASの提供庁および取得庁です。つまり、出願人のDAS提供請求を受け入れるための第一国出願の受理官庁(OFF)として機能するだけではなく、出願人のDAS取得請求を受け入れるための第二国出願の受理官庁(OSF)としても機能します。

中国で完成した特許や実用新案について、出願人は DASサービスを利用して、DASへ優先権書類を提供することを第一国出願の中国特許庁(OFF)に請求する前に、秘密保持審査(FFL: Foreign filing License)を請求する必要があるのでしょうか。

中国特許法第19条第1項の規定によると、いかなる事業体又は個人が中国で完成した特許又は実用新案を外国に特許出願する場合、事前に国務院特許行政部門 (CNIPAを指す)に秘密保持審査を受けなければなりません。出願人がDASサービスを利用する目的は、外国での特許出願時に優先権書類を提供する負担を軽減するためであるが、最終的な目的も外国へ特許出願をするためです。OFFとしてのCNIPAは出願人の優先権書類を受け取り、DASデジタルライブラリーに預けます。預ける前に、CNIPAは優先権書類が秘密保持審査を受けたかどうかをチェックせず、優先権書類をDASデジタルライブラリーに預けるだけです。そのため、DASへ優先権書類を提供するようCNIPAに請求する前に、出願人は秘密保持審査を請求する必要があります。

このように、中国で完成した発明創造は、中国で出願されており、DASへ該出願による優先権書類を提供するよう請求する前に、CNIPAに秘密保持審査を請求し、秘密保持が不要との審査結果を得た場合に、DASへ優先権書類を提供することを請求することができます。

実務では、出願人が中国で特許出願をすると同時に秘密保持審査を請求することができ、すなわち、特許や実用新案の願書において秘密保持審査の関連項目を選択するとの方法が最も便利で、追加費用が発生しません。もし出願時に秘密保持審査を請求していなければ、出願後に単独で秘密保持審査を請求してもよいので、優先権期間内かつ外国への特許出願前にできるだけ早く秘密保持審査を請求すればよいです。

なお、出願人がCNIPAを受理官庁として国際出願を提出する予定があり、この中国出願の優先権を主張する場合、前項の規定も遵守しなければならず、DASへ優先権書類を提供することを請求する前に、CNIPAに秘密保持審査を請求する必要があります。

上記により、中国で完成した発明創造は中国で出願されており、いずれの場合でも、DASへ優先権書類を提供することを請求する前に、CNIPAに秘密保持審査を請求する必要があります。