中国特許法の関連規定により、審判請求人の出願書類に対する補正は拒絶査定で指摘された欠陥の解消に限られます。次の場合は、通常、上記の規定を満たしないものとします。

(1)補正後の請求項は、拒絶査定の対象請求項に対して保護範囲を拡大した場合

(2)補正後の請求項と拒絶査定の対象請求項に係る発明は単一性を満たさない場合

(3)請求項の種類を変更した、または請求項を追加した場合

(4)拒絶査定で指摘された欠陥に関連しない請求項又は明細書に対して補正を行った場合。ただし、明らかな文字の誤りを補正し、あるいは拒絶査定で指摘された欠陥と同一な性質を持つ欠陥に対する補正などのような場合は除外。

上記(1)については、通常の補正方式は、拒絶査定の対象独立請求項を基に、従属請求項を組み込むか、または明細書の記載に基づいて新たな技術的特徴を組み込むことです。このような補正方式は、上記(1)の規定に適合します。しかしながら、実務においては、特許出願人が本当に望んでいる発明は、上記(1)に直接適合するような補正方式では実現できない場合があり、例えば、1つまたは複数の技術的特徴を削除するとともに、他の1つまたは複数の技術的特徴を組み込むなどです。

具体例として、特許出願の拒絶査定の対象請求項の保護範囲はA+Bであり、Aは出願当初の請求項に含まれる技術的特徴を表し、Bは拒絶理由への応答時に組み込まれた技術的特徴を表します。拒絶査定において、審査官は、組み込まれた特徴Bも本願発明に特許性を持たせることはできないと指摘しており、出願人の補正や反論理由を受け入れませんでした。この場合、審判請求の際に、技術的特徴Bを削除するとともに、技術的特徴Bと何の関係もない新たな技術的特徴Cを組み込む場合、A+Bの保護範囲と比較して、 A+Cの保護範囲は請求項を拡大していない保護範囲と判断することができるのでしょうか。

この場合、その2つの保護範囲には直接的な比較可能性はありません。拒絶査定は、前回の拒絶理由通知に応答する際に組み込まれた技術的特徴が審査官に受け入れられていないためになされたものであるため、分析した後に、組み込まれた技術的特徴Bが拒絶査定を解消できる十分な理由がなければ、特許請求の保護範囲の観点から、権利化された請求項の保護範囲をできるだけ大きくするために、後に組み込まれた技術的特徴Bを削除し、新たな技術的特徴Cを組み込むことが考えられます。つまり、後に組み込まれた技術的特徴B が請求項の特許性に寄与していないと考えた場合、技術的特徴Bが請求項に残れば、むしろ権利化された請求項の保護範囲が縮小されることになります。この場合、上記の補正(即ち、A+C)を試みることができますが、審査官または審判官によって「補正後の請求項が拒絶査定対象請求項に対して保護範囲を拡大した」と認定された場合には、拒絶査定の対象請求項に新たな技術的特徴、すなわち請求項の保護範囲をA+B+C の形式にします。

以上のように、審判請求をする際に、請求項に対して更なる補正を行う必要がある場合は、前回の拒絶理由に応答する際に組み込まれた技術的特徴を削除し、新たな技術的特徴を組み込んで反論することが考えられます。これにより、請求項の保護範囲の不必要な縮小を避けることができます。