外国の出願人が中国で特許出願する場合、一般的に特許事務所を通じて出願手続きなどを行います。特許事務所は、クライアントから提供された書類や情報に基づいて出願書類を作成します。また、クライアントと効果的なコミュニケーションをとり、出願書類の正確性と規範性を確保します。以下、中国特許出願時の出願人と発明者の情報に関する記入要件を説明します。

1.出願人の情報に関する記入要件

·出願人の類型

出願書類を提出する際に、出願人の名称、国籍、住所、類型などの情報を明記する必要があります。出願人の類型は主に工鉱企業、大学、科学研究機関、事業機関、個人に分けられています。出願人の実際の類型に基づいて記入すればよいです。実務的に、ある出願人の名前に「大学」や「研究所」の文字が入っているが、実際には工鉱企業の類型に属するケースがあります。この場合、代理人は誤った類型の情報を記入しやすいので、クライアントが依頼時に出願人の類型を明記するほうがよいです。例えば、出願人が××大学の科学技術有限会社、株式会社××技術研究所である場合は、通常、工鉱企業という類型に属します。

·出願人の中国語表記

出願人の名称は中国語表記でなければなりません。出願人は使用している出願人の名称の中国語訳名がある場合は、この中国語訳名を依頼時に代理人に知らせたほうがよいです。もしなければ、代理人に出願人の名称の翻訳を依頼することができます。外国の出願人が中国で特許出願する際に、同じ且つ唯一の中国語訳名を使うことをお勧めします。出願人の中国語訳名の中にできるだけ英文を保留しなく、中国語の意味に翻訳できるものは中国語に翻訳したほうがよいです。そうでなければ、中国特許庁に受け入れられない可能性が高いです。出願人が外国の自然人であれば、名前は、外国語の略語文字を使用することができますが、苗字を完全に中国語に翻訳する必要があり、苗字と名前の間にドットで区切ることができます。例えば、出願人が Micah Jonesである場合、「M·琼斯」を出願人の中国語表記とすることができます。また、出願人の名前に学位、職務など (例えば、××博士、××教授など) を含めてはなりません。

·出願人の住所

外国出願人の住所は、国、市 (県、州) を明記し、外国語の詳細な住所を付記する必要があります。クライアントからの明確な要望がない場合は、国や市 (県・州) だけを出願書類に明記して提出することができます。この場合、出願人の住所が変更されても、国や市 (県・州) が変わらなければ、書誌事項変更請求は不要です。出願人の所在する国と市 (県、州) に変更があった場合に限って、CNIPAに書誌事項変更請求をする必要があり、他の証明書類は不要です。例えば、出願人の住所はオーストラリアビクトリア州メルボルン×××ストリート××番地である場合、出願時に記入された中国語の住所は「澳大利亚维多利亚州」(オーストラリアビクトリア州に対応)であれば、出願人の住所がオーストラリアビクトリア州内にある限り、CNIPAで住所の変更をする必要はありません。

·出願人の変更

外国の出願人が中国で特許出願をする際に優先権を主張する場合、後願の出願人は優先権書類謄本に記載された出願人と一致し、または優先権書類謄本に記載された共同出願人の1人であります。出願人が完全に一致しなく、または部分的に一致しない場合、クライアントは優先権出願の出願人と後願の出願人が署名または押印した優先権譲渡証明書またはその他の権利移転の証明書を提供する必要があります。

国際出願が国内段階に移行する場合、移行出願の出願人は国際出願の出願人と一致することになります。出願人に変更が生じた場合、国内段階に移行する際に変更後の出願人情報をそのまま使用して、出願人変更の証明書類を提出します。

具体的に、PCT国際出願は国内段階に移行する際に出願人の変更が生じた場合、まず、出願人が国際段階で出願人の変更請求をしたかどうか、PCT/IB/306表を受け取ったかどうかを確認します。出願人が国際段階で変更請求を提出しなかった場合、出願人は30ヶ月の移行期間までに時間の余裕がある場合は国際段階で変更請求を提出し、その後国内段階に移行する時に特許権譲渡証明書を提出することをお勧めします。こうして書誌事項変更費用は発生しません。出願人が国際段階で変更請求を提出しておらず、かつ変更請求を提出する時間の余裕がない場合、国内段階に移行する際に、前述した変更の証明書類を提供するほかに、書誌事項変更申請書も提出して出願人の変更を行う必要があります。この場合、変更請求手続きには官庁費が発生します。

2.発明者の情報に関する記入要件

出願人の情報以外に、発明者の中国語名と第一発明者の国籍も中国特許庁に記載される必要があります。第一発明者の国籍が中国である場合は、第一発明者の身分証明書番号を提供する必要があります。発明者が中国の身分証明書番号を持っていなく、身分証明書が紛失し、または、特別な理由で身分証明書が回収された場合は、発明者が署名した声明を提出することができます。同声明に身分証明書番号がない理由を明記し、既存のほかの身分証明書類を添付して出願書類とともに紙媒体で当該出願を提出することができます。

外国発明者名は中国語訳名を記入する必要があります。外国発明者の名前は外国語の略語文字を用いることができ、苗字は完全に中国語に翻訳して、苗字と名前の間にドットで区切られて、ドットは中間位置に置きます。例えば、発明者David Mark SMITHの中国語訳名は D・M・史密斯と訳すことができます。ただし、発明人名に記号「-」が使われている場合は、中国語表記にこの記号がそのまま使われます。発明者の国籍が日本、韓国、シンガポールなど人名用漢字のある国である場合は、出願依頼書に正確な中国語表記を記載するほうがよいです。

なお、PCT国際出願が国内段階に移行する時、クライアントが提供した発明者の中国語訳名が英語名と一致しない可能性があります。例えば英語名には3つの単語がありますが、その中国語訳名に2つの漢字しかありません。この場合、発明者が署名した声明を提供し、その中国語訳名が声明に記入された名前であることを宣言する必要があります。

以上は、特許出願時の出願人・発明者の情報に関する記入要件です。これらの情報は、特許出願時に提出する必要があります。クライアントは、代理人に依頼する際に必要な情報をすべて提供するほうがよいです。一部の情報を依頼時に提供できない場合は、出願期限日までに提供する必要があります。そうしないと、出願を提出できなかったり、補正通知を受け取られたりして、出願の方式審査合格までの時間が遅れてしまいます。