周知のように、発明(又は実用新案)の特許出願書類には、発明が解決しようとする技術的課題、その技術的課題を解決する及びその技術的手段の従来技術に対する有益な効果を明確に記載しなければなりません。ここで、有益な技術的効果は発明が「顕著な進歩」を持つかどうか、実用新案が「進歩」を持つかどうかを判断するための重要な根拠です。化学は実験的な学問分野に属しているため、多くの場合、その有益な効果を証明するためには実験データを使用する必要があり、また、実験データは化学分野の特許出願明細書が十分に公開されているかどうかを証明したものでもあります。そのため、実験データは化学分野の出願書類の中で非常に重要な地位を占めています。
化学分野の特許審査過程において、審査官から「特許出願が従来技術に対して有益な効果を有しない」、「明細書の開示が不十分である」との指摘を受ける場合があります。この場合、出願人が実験データによって証明する必要があると考える場合、まず実験データを補足することによって審査官に指摘された問題を解消することを検討するかもしれないが、先願主義を採用する中国特許制度では、実験データを補足することは特許法では許されず、即ち、特許法第 33条の「出願書類に対する補正は出願当初の明細書と特許請求の範囲に記載された範囲を超えてはならない」という規定に合致しません。過去の特許審査基準のいくつかの版で明らかにされているように、発明の有益な効果を説明するために実験データを補足することが認められない追加でありました。
実験データを補足することはできないが、上述の問題を解消するために、出願人は実験データの後だしによって発明の有益な効果を証明し、または明細書の開示が十分であることを証明することができます。過去の特許審査基準のいくつかの版を見ると、実験データの後だしについて異なる時期に異なる解釈をしました。例えば、2001年版の特許審査基準では、審査官が新規性、進歩性または実用性を審査する際に参考するために、実験データの後出しが許可されていました。2006年版と2010年版の特許審査基準では、2001年版の規定が削除されるとともに、「明細書が十分に開示されているかどうかを判断し、出願当初の明細書と特許請求の範囲に記載されている内容を基準にして、出願日以降に提出された実施例と実験データは考慮しない」が追加されていました。2017年版と 2021年版の特許審査基準では、「出願日以降に提出された実施例と実験データは考慮しない」が削除されるとともに、「出願日以降に提出された実験データについては、審査官は審査しなければならないが、後出しされた実験データによって証明された技術的効果は、当業者が特許出願の開示内容から得られなければならないものである」が追加されていました。過去の特許審査基準のいくつかの版では実験データの後だしについて文言上の異なる表現があるが、実務と相まって、「進歩性欠如」の欠陥と「開示不十分」の欠陥を解消するために実験データを後出しする場合、審査官はそれを参考して審査を行うが、この後出しされた実験データが拒絶理由の解消に積極的な役割を果たすことができるかどうかについては、具体的なケースによって具体的な分析を行う必要があります。
実験データを後出しすることによって上記欠陥を解消する特許出願にとって、後出しされた実験データによって証明された技術的効果が特許出願の開示内容から得られるものであることは基本的な要件であり、技術的効果が「特許出願の開示内容から得られるものである」ことを証明するために、出願人は実験データを後出しする時に、以下の内容を十分に述べることをお勧めします。すなわち、出願時の当業者の立場から出発し、特許出願の開示内容に基づいて本分野の公知常識と組み合わせて考慮して、追加された実験データが証明しようとする技術的効果は出願当初の明細書に記載された技術的効果と一致する旨で述べることであります。これにより、後出しされた実験データは拒絶理由の解消に積極的な役割を果た。すことができます



