実用新案登録出願の請求項において粒子状の物質が含まれている場合、登録することができるのでしょうか。この課題は実際には実用新案の保護対象に関連しています。まず中国の審査基準の関連規定を検討してみましょう。 1.粒子状の物質に関する実用新案の保護対象の規定について特許法第 2 条第 3 項の規定により、実用新案とは、製品の形状及び/又は構造についてなされた改良であると定められています。製品の形状とは、製品が有する、外部から観察可能な特定の空間形状をいいます。審査基準の第一部第 2 章第 6.2 節では、確定的な形状のない製品の場合、例えば気体、液体、粉末状、粒子状の物質又は材料は、その形状が実用新案製品の形状的特徴とすることはできないと規定されています。一方、製品の中のある技術的特徴が確定的な形状を有しない物質(例えば、気体、液体、粉末状、粒子状の物質など)であることが許容される例外規定として、確定的な形状を有しない物質が当該製品において当該製品の構造的特徴により制限されていることです(以下、「例外規定」と略称)。例えば、温度計の形状的構造に対して行われる技術案に、確定的な形状を有しないアルコールを記入することが許容されます。

ここから、実用新案登録出願の請求項において、確定的な形状を有しない粒子状の物質のような技術的特徴がある場合、この粒子状の物質が当該製品において製品の構造的特徴に制限されている場合、その技術的特徴が許容されることが分かります。

2.事例分析

実用新案出願の実務で、粒子状の物質に関する拒絶理由が発行された場合、どのように応答すればいいのでしょうか。次に、事例分析を通じて応答の考え方を説明します。

本事例について、拒絶理由通知書には以下の拒絶理由が記載されています。

請求項 1 から 6 のいずれか 1 項に記載の考案において、「前記表示素子の上に配置された散乱粒子」、「前記散乱粒子の平均直径は 0.8 μ m から 3.0 μ m である」、「前記散乱粒子は前記第 1 の高屈折層に配置される」、「前記散乱粒子は前記有機封止層に配置される」、「前記散乱粒子は前記タッチ絶縁層に配置される」、「前記散乱粒子は前記接着層または前記保護層に配置される」が含まれています。それは、散乱粒子を各層にドープしたものであり、物質の組成分に対する限定であり、しかし、物質の組成分は実用新案により保護された製品の構造ではないため、特許法第 2 条第 3 項の規定に該当しません。

この拒絶理由通知を受領した後に、まず審査基準の上記規定を検討し、粒子状の物質について許容される例外規定があることを理解しました。次に、本件の粒子状の物質が審査基準の上記例外規定に合致しているかどうかを検討しました。そして、拒絶理由において言及された物質の組成分の限定については、この考案が製品の組成分物質に関わるかどうかを検討する必要があります。上記の状況を把握した上で、本願の散乱粒子に関する考案が実用新案の保護対象に属する証拠として、本件の粒子状の物質の限定と比較するために、粒子状の物質に係る登録済みの実用新案公報を検索しました。

上記を踏まえて、次のような応答の考え方を確定しました。

まず、実用新案の保護対象に関する審査基準の規定に基づいて、製品の中のある技術的特徴が確定的な形状を有しない物質(例えば、気体、液体、粉末状、粒子状の物質など)であることが許容される要件として、確定的な形状を有しない物質が当該製品において当該製品の構造的特徴により制限されていることです。本願の散乱粒子は粒子状の物質に属するが、該散乱粒子は製品の構造的特徴(例えば、第 1 の高屈折層、有機封止層など)によって制限されます。

次に、組成分とは、混合物中の各成分を意味します。本願では、散乱粒子が混合物中に存在することが限定されておらず、散乱粒子の特徴については物質の組成分の限定ではありません。また、本願明細書の内容を参照すると、本願は、ユーザが画素電極からの反射による色縞を視覚的に認識できないように散乱粒子を設置することを目的としており、各層における散乱粒子の含有量については言及していなません。

以上により、本願請求項における特徴は物質の成分に対する限定ではなく、特許法第 2 条第 3 項の規定に合致します。

そのほか、出願人は、権利化された実用新案登録を検索しました(例えば、CN216210335U、CN216640134U、 CN216526646U、CN213877345U、CN212230460U、CN211699543U およびCN211786498U)。これらの実用新案登録の請求項には、同様に粒子状の物質に係る技術的特徴が限定されています。一例として、CN216640134Uの請求項1にに「前記蛍光滑り止め層(6)の先端に等間隔に複数組の TPV 蛍光粒子(7)が設けられている」と限定されています。別の例として、CN216210335U の請求項 1 に「前記偏光分散膜の材料は、コロイド層と、前記コロイド層に分散された分散粒子とを含み、前記分散粒子の粒径は 1 μ m ~ 18 μ m である」と限定されています。さらに別の例として、CN213877345U の請求項 1 に「前記蛍光層は、前記量子ドット層上に積層された第 1 の基体と、前記第 1 の基体の内部に分散された蛍光粒子とを含み、前記蛍光層は、前記第 1 の基体の内部に分散された第 1 の拡散粒子をさらに含む」と限定されています。出願人は、本願の散乱粒子に関する考案が実用新案の保護対象に属する証拠として、上記権利化された実用新案公報を提出しており、審査官の参考に供しました。

以上の応答を通じて、本願は実用新案の保護対象の規定に合致したと判断されたため、権利化されました。出願人は類似の拒絶理由通知を受領した場合、まず関連規定を明確にし、次に出願が上記例外規定に合致しているかどうかを分析し、必要に応じて権利化された関連する実用新案公報を検索して証拠とし、権利化を目指すように合理的で根拠のある対応をすることをお勧めします。