2023年に新たに改正された特許審査基準は2024年1月20 日に施行されました。本文は審査基準における進歩性に関する主な改正点をご紹介します。
1.実用新案の「顕著な進歩性」の審査
実用新案の方式審査について、改正後の審査基準では、審査官が実用新案登録出願に対して顕著な進歩性の欠如有無を審査することを明確にしました。また、方式審査段階における実用新案の進歩性の審査原則と無効審判手続における実用新案の進歩性の審査原則が一致することを明らかにしました。
2.従属請求項の審査原則
従属請求項の審査について、1つの独立請求項が進歩性を有する場合、改正前は「その独立請求項の従属請求項の進歩性を審査しない」と規定されたが、改正後の特許審査基準では「一般的にはその独立請求項の従属請求項しない」と規定されています。このように改正されたのは、従属請求項の技術案が優先権を主張できない場合、その技術案の出願日の再決定により、その独立請求項が進歩性を有しても、その従属請求項が進歩性を有しない可能性があるからです。
3.発明の進歩性の審査基準
(1)最も近い先行技術の特定
最も近い先行技術は、発明が突出した実質的特徴を有するかを判断する基礎です。今回の特許審査基準の改正では、「発明が解決しようとする技術的課題に関連する先行技術を優先的に考慮する」ことが明らかになりました。したがって、改正後の特許審査基準によれば、最も近い先行技術を選択する際には、技術分野が同一又は類似であり、発明が解決しようとする技術的課題と関連がある先行技術を優先的に考慮する必要があります。すなわち、技術分野の同一又は類似性を考慮するだけでなく、発明の目的が技術的に関連するかどうかについても考慮する必要があります。例えば、先行技術に明確に記載されている技術的課題が本願で解決しようとする技術的課題と同一又は類似しており、又は、明確に記載されていないがその技術的課題の存在を当業者が認識できるものを最も近い先行技術とします。このように、進歩性の判断の基礎を補完することにより、審査官が審査段階で発生する「後知恵」をできるだけ回避することができます。
(2)発明が実際に解決しようとする技術的課題の再特定発明の審査段階において、審査官によって特定される最も近い先行技術に基づいた発明の実際に解決しようとする技術的課題は、明細書に記載された技術的課題ではない可能性があり、改正前の審査基準には発明が実際に解決しようとする技術的課題を再特定する原則が以下のように示されました。すなわち、当業者が当該出願の明細書の記載内容からその技術的効果を知り得るなら、発明の如何なる技術的効果も再特定された技術的課題の基礎となることができます。この原則には、技術的効果が相当し且つ「より良い技術的効果」が記載されていない技術案は、実際に解決しようとする技術的課題をどのように判断すべきかが明確にされなかっため、改正後の特許審査基準はこれに対して特例として「発明のすべての技術的効果が最も近い先行技術と同等である場合、再特定された技術的課題は最も近い先行技術とは異なる代替的な技術案を提供する」ことを明確にしました。
また、技術的課題を再特定する際の注意点が追加されました。すなわち、再特定された技術的課題は、相違点が当該発明において達成できる技術的効果と一致しなければならず、相違点そのものとして特定されてはならず、相違点への導きや示唆も含まれてはなりません。
(3)公知常識的証拠の類型
審査基準第4部の復審・無効審判手続における公知常識的証拠の類型を参照して、今回、審査基準第2部の実体審査における公知常識的証拠の例として「技術辞書、技術マニュアル」が追加されました。
上記により、今回新たに改正された審査基準は進歩性の審査規則などを補完して、審査基準を統一し、審査品質を向上させ、先行技術に貢献した発明創造を保護するのに有利であることが分かりました。



