中国弁理士陳世華

中国では、特許権の存続期間は20年であり、出願日から計算されます。新たに改正された特許法第42条第 2項は、特許権の権利付与過程における遅延により与えられた特許存続期間の補償制度を導入しました。以下にこの制度をご紹介します。

1.請求の提出

特許権者は、特許権の権利付与公告日から3ヶ月以内に中国特許庁に請求を提出し、費用を納付すると規定されています。上記費用については、これまで中国特許庁(CNIPA)が明確に規定していません。 2.補償期間の計算方法補償期間は、特許権の権利付与過程で不合理に遅延した実際の日数に基づいて計算されます。具体的には、特許出願日から4年を経過し、かつ、実体審査請求日から3年を経過した日から特許権の権利付与公告日までの間隔日数から、合理的な遅延の日数および出願人による不合理な遅延の日数を減算します。特許権存続期間の補償には最長補償期間の制限はありません。

上記計算方法における「出願日」及び「実体審査請求日」について、改正後の審査基準に明確に規定されています。

国際出願について、上記「出願日」とは、国際出願が中国の国内段階に移行する日を指します。分割出願について、上記「出願日」は分割出願提出日を指します。

「実体審査請求日」とは、出願人が実体審査請求を提出して実体審査料金を全額納付する日を指します。また、実体審査請求日が公開日より早い場合、前記「実体審査請求日から3年を経過した日」は当該公開日から3 年を経過した日を指します。

上記計算方法における「合理的な遅延」の状況について、具体的には以下の通りです。

(1)特許出願書類を補正した復審(拒絶査定不服審判に相当)段階の後に特許権を付与された場合の復審手続による遅延。

復審手続による遅延について、中国特許庁がどのように遅延時間を決定するかを判断する事例は現在ありません。CNIPAは後続にこのような事例を追加する可能性があります。

(2)中止手続、保全措置規定の場合による遅延。

(3)その他の合理的な場合による遅延(例えば審決取消訴訟手続などによる遅延)。

上記計算方法における「出願人による不合理な遅延」の状況について、具体的には以下の通りです。

(1)指定期間の延長を請求し、指定期間内に特許庁からの通知に対する応答をしなかった場合による遅延。

遅延時間は応答期間満了日から実際の応答書類提出日までの日数であります。 (2)遅延審査を申請した場合による遅延。

遅延時間は実際の遅延審査の時間です。

(3)引用による補充による遅延。

遅延時間は出願書類を補充する時間です。

(4)権利回復請求による遅延(当該遅延が中国特許庁によるものであることを証明できる場合を除く)

遅延時間は元の期間満了日から回復に同意する旨の権利回復請求承認通知書の発行日までの日数であります。

(5)優先日から30ヶ月以内に中国の国内段階への移行手続きを行う国際出願では、出願人が早期処理を請求していないことによる遅延。

遅延時間は中国の国内段階に移行した日から、優先日から30ヶ月経過した日までの日数です。

3. 特許権存続期間の補償が適用されない状況同一の出願人が同日に、同一の発明創造に対して実用新案登録出願及び特許出願を行い、特許権を取得した場合、当該特許権の期間は補償の対象外です。

4.期間補償の審査

審査後、中国特許庁は特許権存続期間の補償請求が期間補償要件を満たしていないと判断した場合、請求人に少なくとも1回の意見を申し立てる及び/又は書類を補正する機会を与えます。その後も期間補償要件を満たしていない場合は、期間補償をしない旨の決定をします。

中国特許庁は審査を経て特許権存続期間の補償請求が期間補償要件を満たしていると判断した場合、期間補償を与える旨の決定を下し、期間補償の日数を通知します。

5.期間補償の登録・公告

中国特許庁は特許権存続期間の補償を与える旨の決定を下た後に、関連事項を特許原簿に登録し、特許公報に公告ます。

以上により、現在関連する事例がない場合において、出願人が特許権存続期間の補償を取得したければ、基本要件(すなわち法42条2項に規定された4年または3 年の時間要件)を満たす場合、まず期間内に特許権存続期間の補償請求を行い、中国特許庁が補償の可否と補償の日数を判断します。また、現在補償に係る費用はまだ公布されていないので、先に補償請求を提出して、費用の関連規定が公布された後、追納を行うことができます。一方、その時に補償を提出したくなければ、費用を納めなくて済みます。