中国特許審査基準は最近、最新の改正を行い、2024年 1月20日に正式に実施されました。本文は復審(拒絶査定不服審判に相当)・無効部分が当事者に与える影響が大きい改正内容をご紹介します。
1.復審部分の改正
(1)復審の前置審査
改正前に、復審・無効審査部が審理を開始する前に、拒絶査定を行った元の審査部門が先に前置審査を行いました。今回の改正では、前置審査を行う主体を「前置審査を担う審査部門」に改正し、つまり元の審査部門以外の実審査部門も前置審査を行うことができるように拡大されました。
(2)職権による復審審判の範囲元の職権による審査を基に、改正後の審査基準では職権による審査の状況が4種類追加されており、具体的には以下の状況を含みます。
1)信義誠実原則の審査(例えば非正常出願など)。
2)合議体は拒絶査定における性質と同じ欠陥を審査することができます。例えば、拒絶査定において一部の請求項が進歩性を有しないことを指摘し、合議体は他の請求項が進歩性を有しないことを追加することができます。
3)合議体は拒絶査定において指摘されていない他の明らかな実質的欠陥(例えば実用性欠如、不明確、サポート要件違反など)を指摘することができます。
4)合議体は、引用文献または証拠の使用方法を変更することができます。例えば、最も近い先行技術を変更することができ、または、実体審査時のある証拠が審判段階で適用されないと判断した場合その証拠を使用しないことが可能です。
(3)審決の類型
改正前の審決には、拒絶査定の維持と拒絶査定の取消の2種類が含まれました。改正後は「復審請求の棄却」という類型が追加されました。例えば、合議体は拒絶査定において指摘されていない明らかな実質的欠陥の意見を補足し、その場合には「復審請求の棄却」の審決を発行することができます。
2.無効審判部分の改正
(1)特許権者による特許権の放棄
改正前の審査基準では、特許権者は一部の請求項または複数の意匠の一部を放棄するしかできないが、改正後の審査基準では、他人の合法的権益と公共利益を妨げないことを前提として、特許権者がすべての請求項またはすべての意匠を放棄することが許されるようになりました。
(2)同一の特許権に対する複数の無効審判手続の取り扱い改正前の審査基準に従って、特許権の全部無効または一部無効の審決である場合、当事者が提訴しないときまたは当該無効審決を維持した旨の発効判決であるとき、当該特許権に対して提出された後続の無効審判請求を受理しないものとしました。
今回の改正では、特許権の全部無効または一部無効の審決が下されており、かつ裁判所の判決によってこの無効審決が取り消されていないのであれば、その後、この特許権に対して再度提出された無効審判請求を受理しません。言い換えれば、その後の無効審判請求の対象となる特許権は、先の審決によって無効とされており、この時点では審理の基礎がなくなり、無効審決が訴訟の段階にあっても、後の無効審判請求は受理されないため、請求人が後続の無効審判請求の受理後に長時間に審決の結果を待つことを避けることができます。
(3)無効審判請求の審査範囲
今回の改正では、無効審判手続において、合議体は、当事者が提出した無効審判請求に対して審査を行うほか、特許法及びその実施細則の関連規定に明らかに違反している他の状況(例えば、審判請求書において言及していない、特許が信義誠実原則に違反していること) に対して審査を行うことができます。このように改正された理由は以下の通りです。無効審判手続きにおいて、合議体が当事者の主張のみを審査すれば、欠陥のある特許権を存続させることになり、本来誰でも実施できる技術の実施が禁止されており、社会の公衆がこの特許権の無効をするには、無効審判手続を再起動し、追加コストを支払う必要があります。
(4)無効審判手続における請求項の補正
今回の改正では、請求項の補正に制限を加えました。すなわち、「無効審判理由または合議体が指摘した欠陥に対して補正しなければならない」ということです。これは公平性のためであり、無効審判手続きにおいて特許権者の特許書類に対する補正は請求項を再作成するのではなく、請求人または合議体が指摘した理由に対して応答式の補正を行うべきです。
(5)域外証拠の証明手続きの簡略化
改正前の審査基準では、全ての域外証拠は公証・認証が必要であると規定されており、今回の改正では、所在国の公証を経たり、中国が当該所在国と締結した関連条約に規定された証明手続きを履行したりするだけで済むように簡略化されました。また、すでに発効した裁判所の裁決、行政決定または仲裁裁決で確認された域外証拠については、証明手続を行う必要はありません。
以上は今回の審査基準改正における復審・無効に関する主な改正ポイントであり、上記の内容から、復審・無効審判手続きが簡略化され、審理が柔軟化され、第4 回改正後の特許法から出発し、公平かつ効率的に復審と無効審判を行うことを最終的な目的とすることがわかりました。


