中国弁理士陳世華
特許権の存続期間は出願日から起算して20年です。新たに改正された特許法第42条第2項および第 3項では、特許権存続期間補償の規定が導入されました。具体的には以下の2つの補償形式があります。1つは、特許出願の付与過程における遅延により与えられた特許権存続期間補償、すなわち特許付与期間補償です。もう1つは、新薬の販売承認申請期間を補償するために与えられる特許権存続期間補償、すなわち医薬品特許権存続期間補償です。ここで、医薬品特許権存続期間補償について紹介します。
1.医薬品特許権存続期間補償を請求する場合の要件
(1)補償を請求する特許の付与公告日は、医薬品の販売承認請求が承認された日より前でなければなりません。
(2)補償請求を提出した場合、当該特許権は有効な(存続中な)状態にあります。
(3)当該特許はまだ医薬品特許権存続期間補償を受けていません。
(4)補償を求められた特許の請求項には、販売が承認された新薬に関連する発明が含まれています。
(5)1つの医薬品に同時に複数の特許が存在している場合、特許権者はそのうちの1つの特許のみに対して医薬品特許権存続期間補償を請求することができます。
(6)1つの特許が同時に複数の医薬品に関連する場合、1つの医薬品に対してのみ当該特許に医薬品特許権存続期間補償を請求することができます。
2.請求の提出
特許権者が中国で医薬品の販売承認を得た日から3 か月以内に、中国特許庁に医薬品特許権存続期間補償を請求し、かつ請求手数料200元を支払う必要があります。
条件付き販売承認を得た医薬品については、中国での正式な販売承認の日から3か月以内に中国特許庁に請求しなければならないが、補償期間の計算は条件付き販売承認を取得した日に基づいて行われます。
3.証明資料
医薬品特許権存続期間補償請求を提出する場合、請求人は次の証明資料も併せて提出する必要があります。
(1)特許権者と医薬品販売承認保有者が一致しない場合は、医薬品販売承認保有者の書面による同意書等の資料を提出。
(2)医薬品特許権存続期間補償期間の特許権保護範囲を決定するための関連技術資料、例えば、製造方法特許に期間補償を請求する場合、国務院医薬品監督管理部門が承認した医薬品生産プロセス資料を提出。
(3)中国特許庁から求められるその他の証明資料を提出。
請求人は、請求書に、医薬品の名称、医薬品の登録分類、承認された適応症および期間補償を請求する特許番号を記入し、販売承認を得た新薬に関する請求項を指定し、証明資料と組み合わせて特定請求項が新薬に関する発明を含む理由と補償期間の計算根拠を具体的に説明し、医薬品特許権存続期間補償の補償期間で保護される発明を明確にします。
4.適用範囲医薬品とは、人体に応用される医薬品を指しますが、動物に応用される医薬品や農薬は含まれません。
適用範囲については、国務院医薬品監督管理部門が販売を承認した革新薬と審査基準の規定に準拠した改良型新薬における薬物活性物質の製品特許、製造方法特許または医薬用途特許に対して、医薬品特許権存続期間補償を与えることができます。
革新薬と改良型新薬の定義は関連法律法規に従い、国務院医薬品監督管理部門の関連規定により決定されます。2015年に国務院が発表した「医薬品・医療機器の審査・承認制度改革に関する意見」には新薬の定義(即ち、中国および海外で販売されていない医薬品)が記載されています。
期間補償を与えることができる改良型新薬は国務院医薬品監督管理部門が発行した薬品登録証明書に以下の種類の改良型新薬と記載されているものに限られます。
(1)化学医薬品2.1類:既知の活性成分のエステル化、または既知の活性成分の塩化を形成する医薬品
(2)化学医薬品2.4類:既知の活性成分を含む新しい適応症の医薬品
(3)予防用生物製品2.2類:ワクチン菌ウィルス種を改良したワクチン
(4)治療用生物製品2.2類:新しい適応症を追加した生物製品
(5)漢方薬2.3類:機能主治を追加した漢方薬
5.特定の請求項に新薬に関する発明が含まれているかどうかの審査新薬に関する発明は国務院医薬品監督管理部門が承認した新薬の構造、組成及びその含有量、承認された製造プロセスと適応症を基準としなければなりません。特定請求項に販売承認を受けた新薬に関する発明が含まれていない場合、期間補償は認められません。
6.補償期間の決定
医薬品特許権存続期間補償を与える場合、補償期間は、当該特許出願日から当該新薬が中国で販売承認を得た日までの間隔日数から5年減算したものです。
補償期間は5年を超えてはならず、当該医薬品の販売承認請求が承認された後の特許権有効期間の合計は 14年を超えてはなりません。
7.期間補償請求の承認
審査の結果、医薬品特許権存続期間補償請求が期間補償要件に合致しないと判断した場合、中国特許庁は請求人に少なくとも1回の意見申立て及び/又は補正の機会を与えなければなりません。その後も期間補償要件に合致しない場合、期間補償を付与しない決定を行うものとします。
審査の結果、医薬品特許権期間補償を与えるべきと判断した場合、特許権者が特許権期間補償請求を提出した一方、中国特許庁がまだ補償可否の決定を下していないとき、審査官は特許権期間補償可否の決定が出てから、医薬品特許権期間補償を与える補償期間を決定する必要があります。
特許権者が特許権期間補償請求を提出しておらず、かつ特許付与の公告日から3ヶ月の期限が満了していない場合、審査官は特許権期間補償請求の期間が経過するまで待ってから、医薬品特許権期間補償を与える時間を決定しなければならないが、特許権者は特許権期間補償請求の提出を放棄することを明確に示した場合を除きます。
審査の結果、医薬品特許権期間補償請求が期間補償要件に合致すると判断した場合、中国特許庁は期間補償を与える決定を下し、請求人に期間補償の日数を通知します。
8.登録と公告
中国特許庁は医薬品特許権期間補償を与える決定を下した後、関連事項を特許原簿に登録し、特許公報に公告しなければなりません。
9.医薬品特許権存続期間補償の費用
補償期間が1年を超える場合、年金の基準は8000元 /年です。補償期間が1年未満の場合は、年金を払う必要はありません。



