1.はじめに
中国の特許審査基準によれば、製品の請求項を構造的特徴によって明確に表せない場合、物理的または化学的パラメータによって表すことが許されています。さらにパラメータ特徴によっても明確に表すことができなければ、製造方法による限定も認められます。特にこのようなケースが多いのは化学分野です。
性能パラメータ特徴が製品の請求項に実質的な貢献をもたらすかどうかは、審査実務において判断が難しい点です。その理由を、以下の2つの例を通じて説明します。
2.2つの実例
<実例1>
ポリマー製品の請求項において、当該ポリマー製品がヤング率で限定されています。このパラメータは変形に対する抵抗能力を示すものであり、ポリマーの組成を調整することで異なるヤング率を得ることができます。つまり、このパラメータは製品の組成と関連する特徴であるため、製品の請求項の範囲を限定する構成として認められます。
一方、明細書の記載に基づいてこのパラメータ特徴が発明の技術的効果に及ぼす影響を分析したところ、組成がこのパラメータ特徴に影響を与えることのみが開示されているため、一定の組成を持つ製品を測定するだけで得られるパラメータであり、その技術的効果も組成によってもたらされるものにすぎないと分かります。
したがって、組成的特徴が発明に実質的に貢献をしない限り、このパラメータ特徴は発明に実質的な貢献をもたらしていないと認められます。
<実例2>
球状の樹脂粒子の請求項において、当該樹脂粒子が光散乱指数で限定されています。光散乱指数は樹脂粒子の光散乱性能を示すパラメータです。光散乱指数は散乱強度から計算され、粒子の散乱強度は粒子のサイズと関連性があります。したがって、このパラメータ特徴は製品の構造的特徴を暗に示していると考えられますので、製品の請求項を限定する構成であると認めることができます。
一方、明細書の記載に基づいてこのパラメータ特徴が発明の技術的効果に及ぼす影響を分析したところ、光散乱性を高め、従来技術よりも優れた光学的特性を実現できることが分かりました。
したがって、このパラメータ特徴は従来技術に対して実質的な貢献をもたらす構成であると認められます。
3.まとめ
性能パラメータ特徴が製品の請求項に実質的な貢献をもたらすかどうかを判断するには、以下の点を考慮する必要があります。
まず当該パラメータ特徴による限定が製品の請求項の構造や組成を、従来技術と区別するか否かを考慮する必要があります。
もし、パラメータ特徴が従来技術の構造や組成から直接得られるものであれば、当該性能パラメータ特徴は従来技術に対する相違点ではないと認めることができます。逆に相違点である場合、この相違点が製品の請求項に実質的な貢献をもたらすかどうかをさらに考慮する必要があります。換言すれば、当該パラメータ特徴とそれが暗に示す構造・組成的特徴が実現する技術的効果が、当業者にとって自明であるかどうかも判断しなければなりません。



