中国特許法実施細則(2023年改正)及び特許審査基準(2023年改正)は2024年1月20日に正式に施行されました。手続部分の改正点は主に以下のとおりです。

1. 優先権の回復及び訂正(新設)

1.1 優先権の回復

中国特許法実施細則(以下、「細則」と略称)36条の規定に基づき、出願人は優先権を主張する期間 (12ヵ月)を超えて、中国特許庁(CNIPA)に同一の主題に関する特許(または実用新案)出願を行った場合、優先権期間満了の日から2ヵ月以内に優先権の回復を請求することができます。

なお、意匠登録出願には優先権の回復は適用されません。

国際出願の出願日が優先権期間満了の後2ヵ月以内に、国際段階において受理官庁が既に優先権の回復を承認している場合、細則36条の規定に基づいて優先権の回復請求が行われたものとみなされます。国際段階において出願人は優先権の回復請求を行っていない場合、または優先権の回復請求を行ったものの受理官庁が承認していない場合、中国国内段階の移行日から 2ヵ月以内にCNIPAに優先権の回復を請求することができます。

また、優先権を回復するには、特許出願の願書において優先権を主張している必要があります。出願時に優先権を主張していない場合、優先権の回復をすることはできません。

その他、優先権を回復するには、細則6条ではなく、細則36条に基づいて回復を請求する必要があります。また、優先権の回復を請求する際に、優先権回復請求書を提出し、回復手数料を納付しなければなりません。

1.2 優先権の追加または訂正

細則37条の規定に基づき、特許(または実用新案) 出願の出願人が優先権を主張している場合、優先日から16ヵ月以内または出願日から4ヵ月以内に、優先権の追加または訂正を請求することができます。

優先日から12ヵ月以内に請求する場合、願書における3つの項目(基礎出願の出願日、基礎出願の出願番号および基礎出願の受理機関の名称)をすべて訂正することができます。

優先日から起算して12ヵ月から16ヵ月以内または出願日から4ヵ月以内(いずれか遅い日を基準とする) に請求する場合、上記3つの項目のうち、1つの項目または2つの項目のみを訂正できます。換言すれば、願書において少なくとも1つの項目の記載が正しいでなければなりません。

優先権を追加する前提要件は、優先権期間12ヵ月以内に少なくとも1件の優先権を主張していることです。優先権を主張していない場合、優先権追加の請求は提出されなかったものとみなされます。

なお、細則37条によって優先権期間徒過の優先権を追加することはできません。優先権期間徒過の優先権は細則36条に基づいて優先権の回復を請求する必要があります。

また、優先権を追加した後に、最も早い優先日が変更された場合、変更後の最も早い優先日を日付計算の出発点とする必要があります。 2.「引用による補充」の導入特許出願または実用新案登録出願について、特許請求の範囲、明細書又はその一部が欠落又は誤って提出されている場合であっても、出願人が出願時に優先権を主張しているときは、出願日から2ヵ月以内又は指定された期間内に、先行出願書類(優先権出願書類) を引用することにより、補充提出することができます。補充提出された書類が関連規定に合致する場合、最初の出願日を保つことが可能です。

先行出願書類を引用することにより補充提出できる出願書類は以下のとおりです。

(1)欠落した特許請求の範囲又は明細書

(2)誤って提出された特許請求の範囲、明細書、或いは不足しているまたは誤って提出された特許請求の範囲、明細書の一部なお、補充提出された出願書類の内容は、先行出願書類謄本及びその中国語訳文に含まれていなければなりません。また、「引用による補充」に係る優先権は、回復された優先権、追加または訂正された優先権ではないものとします。

3.遅延審査制度の改善

遅延審査制度が導入された2019年改正の審査基準の規定により、特許出願および意匠登録出願のみが遅延審査の請求対象となっており、そして、一旦遅延審査を請求した場合、遅延期間中に取り下げることができませんでした。今回の2023年改正の審査基準により、特許出願、意匠登録出願出願のみではなく、実用新案登録出願も遅延審査請求を提出でき、遅延審査請求はいつでも取り下げることができるようになりました。

特許出願の遅延審査請求は、出願人が実体審査請求時に提出しなければなりません。遅延期間は遅延審査請求の発効日から1年、2年、または3年とします。

実用新案登録出願の遅延審査請求は、出願人が実用新案登録出願時に提出しなければなりません。遅延期間は、遅延審査請求の発効日から1年とします。

意匠登録出願の遅延審査請求は、出願人が意匠登録出願時に提出しなければなりません。遅延期間は月単位で、最長の遅延期間は遅延審査請求の発効日から 36ヶ月とします。

遅延期間の満了後に、専利(「専利」とは、特許、実用新案または意匠を指す)出願は順番に審査待ちとなります。

遅延期間の満了前に、出願人は遅延審査請求の取り下げを申請することができ、規定に合致する場合、遅延期間は終了し、専利出願は順番に審査待ちとなります。

4.特許権の存続期間の補償(新設、特許のみ)

4.1 特許権付与期間補償

特許出願日から4年が経過し、かつ実体審査請求日から3年が経過した後に特許権が付与される場合、特許権者からの請求により、中国特許庁(CNIPA)は、特許権付与プロセスにおける不合理的な遅延(出願人に起因する不合理的な遅延を除く)に対して特許権の存続期間の補償を行います。

4.2 医薬品の特許権期間の補償

新薬の販売に係る審査・承認の所要時間を補償するため、中国で販売承認を得た新薬に関連する特許について、特許権者の請求により、中国特許庁(CNIPA) は、特許権期間の補償を行うものとします。補償期間は5年を超えておらず、新薬の販売承認後、合計有効特許権期間は14年を超えてはなりません。

5.電子出願の通知の送達日の変更

審査基準の改正前に、中国特許庁(CNIPA)が電子形式で送達する書類は、到達日に15日間の郵送期間が追加された後の日が送達日となりました。今回の改正後の審査基準により、中国特許庁(CNIPA)が電子形式で送達する書類は、当事者の承認した電子システムにアップロードされた日(発送日)を送達日とします。電子システムへの登録日を証明する証拠を提出できる場合を除き、発送日を送達日とします。したがって、電子出願に関する各種通知の応答期限に15日間の郵送日数を追加できないようになります。ただし、紙媒体の専利出願の通知の送達日は改正前と同様に15日間の郵送期間の追加が保留されます。