アメリカのグーグル社は中国へ出願した商標「NEXUS」が引用商標(権利者:日本のシマノ株式会社)と同じであり、且つ指定商品も近いことから、一審と二審において、グーグル社の商標「NEXUS」の登録が認められなかった。しかし、2016年、最高裁は再審により、一審と二審の判決を覆し、グーグル社の商標「NEXUS」の登録を認めた。覆した重要な考慮要素は、出願人グーグル社が引用商標の権利者シマノ株式会社と署名した同意書(共存協議)であった。

この事件は、最高裁判所による2016年知的財産権案件から選択された代表的な案件の1つである。この事件の概要を簡単に紹介する。

商標局・商標審判部の判断:

本件商標は登録するべきではない [主旨] 本件商標と引用商標の文字構成と呼称が全く同じであり、しかも本件商標の指定商品「ポータブル・コンピュータ及び携帯コンピュータ」と引用商標の指定商品「自転車用コンピュータ」が類似商品であることから、引用商標に対し、本件商標は類似商品に使用した類似商標を構成し、商標法28条(※1)の規定に違反するので、登録することができない。

一審、二審の判断:

本件商標は登録するべきではない

[主旨] 本件商標の出願人グーグル社が引用商標の権利者シマノ株式会社と署名した同意書に対して、本件商標と引用商標は同じであり、両者の指定商品も類似であるので、正常な市場秩序を維持し、混淆を防止するため、提示した同意書が考慮されない。本件商標は登録することができない。

最高裁の判断:

本件商標は登録するべき [主旨]事件番号:(2016)最高裁行再103号まず、本件商標と引用商標は、商品の機能用途、消費対象などにおいて相違が存在する。次に、本件商標と引用商標が同じであるが、消費者の利益を損害する証拠が無い場合、同意書は引用商標の権利者がその合法的な権利を処分する1つの方式として、商標法28条の判断要素とすることができる。

本件商標と引用商標の相違程度、指定商品の関連程度、及びシマノ株式会社からの同意書などを総合的に考慮したうえ、本件商標は登録するべきである。

【コメント】本事件は、商標が同一/非常に類似している一方、商品が一定の相違を持ち、当事者の両方が一定な知名度を持つというようなケースに対し、大きな参考価値がある。しかし、商品が相違性を持っておらず、当事者も知名度を持ってない場合、実務的に同意書があっても基本的には考慮されない。

(※1)商標法28条(現商標法30条):登録出願に係る商標が、この法律の関連規定を満たさないとき、又は他人の同一の商品若しくは類似の商品について既に登録若しくは初歩査定された商標と同一若しくは類似するときは、商標局は出願を拒絶し公告しない。

図 1:同一商標に対して、同意書が認められた最高法の判例 ----グーグル社の商標「NEXUS」事件
図 1:同一商標に対して、同意書が認められた最高法の判例 ----グーグル社の商標「NEXUS」事件